2000 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体足細胞の支持構造としてのアクチン線維の構築と多様性に関する研究
Project/Area Number |
10670030
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 宏幸 順天堂大学, 医学部, 助手 (20161648)
小泉 憲司 順天堂大学, 医学部, 助手 (40053342)
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80311976)
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Keywords | 足細胞 / アクチン / 糸球体 / メサンギウム / 血管系 / 細胞外基質 / 細胞骨格 / スリット膜 |
Research Abstract |
1)足細胞の形態形成とスリット膜の分子構築:足細胞の細胞骨格の要素の一つとして、あらたに中間径線維に付属するタンパク質を認識するモノクローナル抗体P-31を見いだし、そのタンパク質であるp250を同定した。また微小管付属タンパク質の一種で足細胞を含め多くの細胞で発現するMAP4が、ニューロンに特異的なMAP3と同一のものであることを証明した。スリット膜の構成タンパク質であるnephrinは、もともとフィンランド型の先天性ネフローゼ症候群の原因遺伝子として見いだされたものであるが、そのラット型のものが、かつて新潟大の腎研究施設で作られた5-1-6抗体が認識するタンパク質そのものであることを証明した。スリット膜の分子構築全般についても報告した。 2)糸球体の支持構造としての間質の特性:メサンギウム細胞の収縮力や細胞外基質産成に対するアンジオテンシンIIの影響を知るために、その受容体遺伝子をノックアウトしたマウスの糸球体構造を解析した。また腎臓の間質全般の構成細胞ならびに間質と上皮との界面をなす基底膜についても調べている。さらに腎臓の間質の特異性を知る一助として、肝臓のグリソン鞘の間質を微細形態学的に解析し、そこに含まれるコラーゲン線維に2つのポピュレーションがあることを見いだしている。 3)腎血管系の進化・発生:腎臓は血管系と密接な関係を有する臓器であり、その発生・進化の過程は、密接に相関する。足細胞の構造的な多様性は、腎血管系の発生進化という文脈の中で理解すべきものである。本研究では、血管系の発生過程を知るモデルとして、胎盤の幹絨毛内の血管を電子顕微鏡を用いて観察し、そこに含まれる動脈と静脈を初めて同定することに成功するとともに、その微細構造的な特徴を報告した。また腎血管系の特性について、発生について、進化についても報告した。
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[Publications] Kobayashi-N;Heid-HW;Sakai-T;Kriz-W;Huber-G;Mundel-P: "Molecular characterization reveales identity of microtubule-associated proteins MAP3 and MAP4."Biochem-Biophys-Res-Comm. 268. 306-309 (2000)
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[Publications] Hosoyamada-Y;Kurihara-H;Sakai-T: "Ultrastructural localization and size distribution of collagen fibrils in Glisson's sheath of rat liver : implications for mechanical environment and possible producing cells."J-Anat. 496. 327-340 (2000)
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[Publications] Kawachi-H;Koike-H;Kurihara-H;Yaoita-E;Orikasa-M;Shie-MA;Sakai-T;Yamamoto-T;Salant-DJ;Shimizu-F: "Cloning of rat nephrin : Expression in developing glomeruli and in proteinuric states."Kidney-Int.. 57. 1949-1961 (2000)
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[Publications] 猪口幸子,坂井建雄: "尿細管間質構成細胞障害とその機能."腎と透析.. 48. 87-91 (2000)
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[Publications] 栗原秀剛,坂井建雄: "タンパク尿出現のメカニズム-先天性ネフローゼ症候群からの知見."内科.. 86. 19-23 (2000)
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[Publications] 栗原秀剛,坂井建雄: "糸球体上皮細胞と上皮間物質(スリット膜).目で見るバイオサイエンス"内科.. 86. 793-796 (2000)
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[Publications] 栗原秀剛,猪口幸子,坂井建雄: "糸球体係蹄を支えるメサンギウム細胞."Mebio.. 17. 97-99 (2000)
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[Publications] 栗原秀剛,猪口幸子,坂井建雄: "糸球体足細胞スリット膜の構造."Mebio.2000 Mar;17(3):105-107. 17. 105-107 (2000)
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[Publications] 猪口幸子,栗原秀剛,坂井建雄: "糸球体足細胞を基底面から観察する."Mebio.. 17. 129-131 (2000)
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[Publications] 坂井建雄: "解剖生理学"ミクス. 205 (2000)
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[Publications] 坂井建雄: "からだの不思議-だれでもわかる解剖生理学-."メヂカルフレンド社. 138 (2000)