1998 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンによるマウス脳内生殖中枢の分化・発育支配-環境エストロゲンを中心に-
Project/Area Number |
10670032
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
清木 勘治 東海大学, 医学部, 教授 (40055934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花本 秀子 東海大学, 医学部, 助手 (50156824)
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Keywords | 妊娠マウス / エストロゲン / エストロゲン受容体 / ニコチン / 視床下部 / 生殖中枢 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
我々は、妊娠母体血中の過剰エストロゲン(E)が周産期マウス胎仔の脳、特に生殖中枢の分化・発育にどのような影響を与えるかを調べた。エストリオール(E_3)を反復投与された妊娠マウスから、生後2、10日目の新生仔脳を採取し、脳内Eレセプター(ER)量のScatchard plot分析・定量、脳切片上のneuron-specific enolase(NSE)、glial filbrlal acldic protein(GFAP)およびERの免疫組織染色を行なった。また、妊娠マウスにニコチン水を飲ませたものについても併せて検討した。 その結果、(1)E_3投与により生後10日目まで脳重量、ER量ともに減少したが、ニコチン投与では何の変化も起きなかった、(2)E_3投与により脳切片上のER、およびNSEの免疫染色性は、視索前野・視床下部内側基底部・扁桃核などの、いわゆる生殖中枢神経核群で増加した。しかし、E_3投与はGFAPの染色性には影響しなかった、(3)ニコチン投与はこれら生殖中枢神経核群におけるER染色性に影響しなかったが、NSE染色性は増加させた。しかし、E,とニコチンの同時投与はER、NSEの染色性にニコチン単独投与の場合とは逆の効果をもたらした。 以上のことより、妊娠期間のE_3投与はERを介して胎仔の脳内生殖中枢の発育に強く作用することが示唆された。しかし妊娠中の喫煙が胎仔の脳内生殖中枢の発育にどのような関わりを持つかは不明である。 なお、この研究成果は、(1)第3回日本内分泌学会生殖分科会(1998.11.27、於大阪大学)で口演し、(2)Medical Science Research誌(英国)へ投稿中である。
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