1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670036
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
土肥 良秋 産業医科大学, 医学部, 助教授 (30258602)
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Keywords | エンドセリン-1 / 肝線維化 / 実験的肝硬変モデル / 伊東細胞 / in situ hybridization / 免疫細胞化学 / チオアセトアミド / ラット |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画を一部変更し、1)ET-1前駆体mRNAの検出のために、RT-PCRに用いる特異的なプライマーの配列をラットET-1前駆体mRNAの配列を元に設計し、オリゴヌクレオチドを合成した。ラット正常肝から調整したpoly(A)+RNAを鋳型とし、上記プライマーを用いたRT-PCR法によりET-1前駆体cDNA断片を得た。このcDNA断片にプロモーター配列を含むアダプターを付加した後、in vitro transcriptionによりanti sense鎖、およびsense鎖のジゴキシゲニン標識cRNAプローブを作製した。2)正常肝におけるET-1前駆体のmRNAの発現を1)で作成したプローブを用いたin situ hybridizationにより検索したところ、mRNAシグナルは主に小葉間静脈とその分枝細静脈の内皮に検出されたが、肝細胞や類洞壁を構成する伊東細胞、クッパー細胞、内皮細胞では検出されなかった。3)昨年度作成したチオアセトアミド投与による実験的ラット肝硬変モデルにおけるET-1の局在に関する免疫電顕を施行し、正常肝と比較したところ、正常肝の小葉間静脈内皮細胞に主にみられたET-1免疫陽性反応は肝硬変モデルの同細胞ではほとんど消失していた。一方、正常肝の伊東細胞ではET-1免疫陽性反応ほとんど認められなかったが、急激に肝線維化を誘発させるチオアセトアミド投与5週間後の実験モデルでは、myofibroblast様変化をきたした伊東細胞の粗面小胞体にET-1免疫陽性反応が出現した。ET-1が伊東細胞の線維産生を亢進させることはすでに報告されていることから、今回の所見は伊東細胞が産生したET-1がオートクライン様式により肝線維化の進行に関与することを示唆する。
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[Publications] Kotaro Kayashima 他: "Effects of endothelin-1 on vasoactivity and its synthesis,storage,and acting sites in the rat superior mesenteric vasculature:an ultrastructual and immunocytochemical study"Medical Electron Microscopy. 32. 36-42 (1999)
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[Publications] Hiroshi Fukushige 他: "Synthesis and receptor sites of endothelin-1 in the rat liver vasculature"Anatomical Record. (in press).
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[Publications] Takatoshi Ozaka 他: "Control Mechanisms of Stress and Emotion:Neuroendocrine-Based Studies"Elsevier Science B.V.. 3 (1999)