1999 Fiscal Year Annual Research Report
膜電位依存性プロトンチャネルの機能的役割と活性制御
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10670047
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
久野 みゆき 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00145773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 夫左央 大阪市立大学, 医学部, 助手 (80271196)
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Keywords | プロトンチャネル / プロトンシグナル / pH調節 / アシドーシス / ミクログリア / 細胞膨化 / 破骨細胞 / マスト細胞 |
Research Abstract |
本年度は、主にミクログリアや破骨細胞のH^+チャネル活性の発現状況や制御機構をパッチクランプ法と細胞内蛍光シグナル(BCECF)の画像解析・顕微測光を併用して調べた。ラット脊髄round/ameboid型ミクログリアで、細胞内pH、細胞容積、H^+電流の定量的解析を行い、(1)細胞内アシドーシスによって細胞外Na依存性に細胞の膨化が起る、(2)細胞膨化の程度(細胞直径を指標)とH^+電流の振幅の間には正の相関がある、(3)アシドーシスによる膨化とH^+電流の増加は共に細胞内ATPを必要とするがATPの加水分解には依存しない、(4)アシドーシスによる膨化とH^+電流の増加は共にactin filamentの重合を修飾するcytochalacin Dやphaloidineにより抑制されることを明らかにした。これらの結果から、アシドーシスによる細胞膨化がH^+チャネル活性を増強し強力にH^+を排出することによってcytotoxicな細胞膨化からミクログリアを保護していることが示唆された。これは、アシドーシスと浮腫を伴うことの多い神経疾患におけるミクログリアの機能調節機構として重要な発見である。更に一定条件下での記録過程で電流振幅がしばしば変動するが、これには流出したH^+に起因する細胞膜を介するpH勾配の変化によるものとpH勾配の変化とは無関係に細胞内外環境の影響によるものがあることを明らかにした。また、破骨細胞ではサイトカイン(RankL,CSF)存在下で分化させるとH^+電流密度が増加した。その機構はまだ解明していないが、H^+チャネルの発現が培養条件や機能状態と深く関連して制御されるとが推測された。これらの結果は日本生理学会大会(1999年3月)、日本神経科学会(1999年7月)、米国生物物理学会(2000年2月)などで発表し現在論文を投稿中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sakai, H., Nakamura, F. and Kuno, M: "Synergetic activation of outwardly rectifying Cl^- currents by hypotonic stress and external Ca^<2+> in murine osteoclasts"J. Physiol.. 515. 157-168 (1999)
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[Publications] 久野みゆき 他: "グリアのもつイオンチャネル"Clinical Neuroscience. 17. 1009-1012 (1999)
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[Publications] Morihata, H., Nakamura, F. and Kuno, M.: "Cell sewlling-associated activation of a voltage-gated proton (H^+) current in rat microglia"Excerpta Medica International Congress series. (in press).
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[Publications] Sakai, H. 他: "Co-operative action of hypotonic stress and a rise in external Ca^<2+> on Cl^- currents of murine osteoclasts"Exerpta Medica International Congress Series. (in press).
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[Publications] Kuno, M. 他: "Behaviors of voltage-gated proton channels at different temperature in mast cells and microglia"Biophys. J. (Abstract). 78. 2072 (2000)
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[Publications] 森畑宏一 他: "ラット脊髄ミクログリアの細胞内acidosisによる細胞形態の変化とプロトン(H^+)電流の活性化"第77回生理学会大会(2000年3月). (発表予定).