2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体近赤外分光法による脳虚血時の生体内一酸化窒素発生機序の研究
Project/Area Number |
10670055
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
金城 勝 国立循環器病センター研究所, 共通実験室, 室長 (10132929)
|
Keywords | 生体近赤外分光 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / モノメチルアルギニン / アミノグアニジン / ニトロインダゾール |
Research Abstract |
生体近赤外分光法は無侵襲であるため同一個体を繰返し測定出来る。この特徴を活かして、ラットを用いた同所性移植肝臓における拒絶反応の進行を、同一個体で連続的に観察し、柔軟にデータ解析するシステムを開発した。その結果、生体内で産生される一酸化窒素(NO)が血中ヘモグロビンと結合してできた一酸化窒素ヘモグロビン(HbNO)の定量に成功した。酸素濃度5%の低酸素雰囲気中のジャービル(砂ネズミ)脳の近赤外スペクトルを連続測定し、HbNOの経時変化を調べた結果、成熟ジャービルでは低酸素曝露の直後からHbNOが増加し、およそ10分ぐらいで飽和に達することが分かった。このNOが血管内皮型(eNOS)、神経型(nNOS)、及び、誘導型(iNOS)の3種の一酸化窒素合成酵素(NOS)の何れに由来するかを検討するため、NOSの阻害剤を用いてHbNOの産生状況を調べた。まず、非特異的阻害剤のN-モノメチルアルギニン(NMMA)50mg/kgの腹腔内投与ではHbNOの増加はほぼ完全に抑えられた。次に、iNOS阻害剤のアミノグアニジン(AG)を用いて、阻害効果のドーズ依存性を調べ、LPSで前処理してiNOSをフルに活性化した動物の場合と比較した。その結果、低酸素10分後のNO産生の阻害効果のドーズ依存性はLPS処理動物のNO産生の阻害効果とは異なる事が示された。また、nNOS阻害剤の7-ニトロインダゾール(7-NI)についても同様の実験を行い、NO産生阻害効果のドーズ依存性が低酸素とLPS処理では異なる事が分かった。これからiNOSの関与が殆ど無い事が示唆されたので、これを更に確認するため、iNOS遺伝子欠損マウスを用い、5%低酸素下でのHbNO産生をコントロールマウスと比較したところ、ほぼ同様のHbNO産生を示した。以上から、iNOSの関与は無い事が明らかになった。nNOS阻害剤の7-NIを投与した場合にNO産生は完全には抑制されなかったので、eNOSの関与もある事が示唆された。
|