1998 Fiscal Year Annual Research Report
気道防御メカニズムにおける鼻腔NOの生理学的意義に関する研究
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10670057
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
岩元 純 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20160137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 正信 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10271777)
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Keywords | 鼻腔 / 気道上皮 / 繊毛運動 / 酸素消費量 / 二酸化炭素産生量 / 一酸化窒素NO |
Research Abstract |
ヒトの鼻腔粘土皮は、繊毛円柱上皮、繊毛を持たない円柱上皮、ゴブレット細胞などによっで構成されている。このうち、繊毛円柱上皮は、気道の奥にいくにつれて、その割り合いが増加し、下甲介のもっとも後部は、ほとんど100%が繊毛をもった円柱上皮によって覆われている。これらの繊毛の働きは、様々な異物を咽頭に向かって運搬し、痰として排出させることにある。分泌顆粒をもったゴブレット細胞などに比して繊毛円柱上皮はミトコンドリアを多数有し、繊毛運動に必要なエネルギーであるATPを容易に供給することができる構造を持つ。この、ATP産生はむろん酸素を用いて行われるので、繊毛運動の指標として、気道粘膜上皮組織の酸素消費量を用いることができる可能性がある。我々は、気道上皮の酸素の消費量と二酸化炭素の産生量を、対流による鼻腔内ガスサンプリング法を利用して測定した。これは、鼻腔を右/左から左/右へ向かって換気し、この時の洗い出しガスに含まれる酸素や二酸化炭素濃度を質量分析計によって測定し、また同時に一酸化窒素NOを化学発光法によって測定した。結果は、酵素の消費量が、1.2±0.15、二酸化炭素産生量が、1.65±0.10ml/min(mean±SD)であった。いま、鼻粘膜の表面積を約150平方センチメータと仮定すると、この酸素消費量は、鼻粘膜上皮1平方cm、1分間で、おおよそ8μl程度になる。また、Rは1.38±0.12であり、二酸化炭素の排出が酸素の吸収を上回るもので、陸棲両生類の皮膚のガス交換と酷似していた。鼻腔気道に局所的に与えた低酸素刺激によって、鼻腔粘膜の酸素消費量、二酸化炭素産生量ともに著しく低下し、さらにNOの産生量も同時に低下した。したがって、エネルギー産生、NOの産生の双方とも、気道の酸素分圧に依存し、酸素の拡散依存性であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 服部正明: "鼻腔拡張テープが鼻腔横断面積と鼻腔抵抗に及ぼす影響について" 臨床スポーツ医学. 15. 1041-1045 (1998)
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[Publications] Iwamoto J,: "The Nagano symposium on sports science" Cooper Publishing Group (Nose Het al,edited), 646 (1998)