1998 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠末期に起こる発熱抑制メカニズムの解明-脳内プロスタグランジン系を中心として-
Project/Area Number |
10670063
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
松村 京子 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (40173877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 恭良 大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 部長 (40144399)
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Keywords | 妊娠ラット / プロスタグランジン / シクロオキシゲナーゼ / 発熱 |
Research Abstract |
出産直前の妊娠動物では発熱が起こりにくい事が知られている。実験的に外因性或いは内因性発熱物質を出産直前のヒツジ、ギニピッグ、ラットに投与しても、発熱は起こらない。また妊娠末期に発熱が起こらないことが、胎児の生存に有利に働いている事が示唆されている。発熱は発熱物質が脳内でプロスタグランジン(PG)Eの産生を促進し、そのPGEを体温調節系の神経細胞が受容し、体温調節遠心路を介して末梢器官で熱産生を促進し、かつ熱放散を抑制することによって起こる。しかし、妊娠末期の動物で、これらの発熱発現過程のどの段階が抑制されるのかは明らかとされていない。そこで本研究では、妊娠ラットをモデルとして、妊娠末期におこる発熱抑制が発熱過程のどの段階に原因があるのかを明らかにする目的で研究を行った。 妊娠末期のラットにLPSを投与したが、発熱が抑制された。その時の脳脊髄液中のプロスタグランジンE_2(PGE_2)を測定すると、LPSによる増加が非妊娠ラットと比べて少なかった。さらに、PGE_2合成に関与するシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の視束前野及びその近傍のくも膜下腔での発現を調べたところ、LPSにより誘導されたCOX-2陽性細胞の数が非妊娠ラットの場合と比べて有意に減少していた。 以上のことから、妊娠末期ラットにおける発熱反応の減弱は、PG産生系の抑制が関与していることが明らかとなった。
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