1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨格筋疲労におけるMgイオンによる興奮・収縮連関系の阻害仮説-in vivo 31P NMR法による研究
Project/Area Number |
10670076
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
荻野 孝史 国立精神・神経センター, 神経研究所・診断研究部, 室長 (50185526)
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Keywords | 骨格筋 / 疲労 / Mg2+ / P31 NMR / ATP / deconvolution / 筋繊維 / 非破壊 |
Research Abstract |
本研究の目的を達成するためには、(A)3つの異なる筋繊維別の代謝を分離・定量出来るように、ヒト骨格筋のin vivo^<31>P NMR測定において、高い感度と分解能が確保されていること、(B)多次元の校正を柔軟に行うことが出来るMg^<2+>濃度計算プログラムを開発すること、が必要である。以上を踏まえ、本年度は、測定方法論の開発に関する研究を進めた。 (1)ヒト下腿筋のin vivo^<31>P NMR測定には、ヒト全身用NMR装置を用いる。このために、ヒト下腿筋の高感度測定に適した^<31>P NMR検出コイルを製作し、非磁性体で製作した負荷装置に組み込み、その動作確認をした。また、負荷装置は、運動出力をNMR測定と同時記録出来るように設計した。 (2) 運動中の重疊波形分離に不可欠な基礎情報を得るために、安静時(pH=7.0、37℃)のヒト下腿三頭筋の^<31>P NMRスペクトルを測定し、Pi.ATP共鳴線の波形パラメータ(共鳴周波数、線型、線幅、結合定数等)を非線形最小二乗法に基づくプログラムにより解析した。 (3) ATPのα-βおよびβ-γ間の共鳴周波数差に基づく計算式を用いてMg^<2+>濃度を求めるコンピュータプログラムを開発した。pHが同時に変化する場合でも2次元の校正を用いれば、α、β、γ位のPの共鳴周波数差からpHとMg^<2+>濃度を同時に決定することが出来るようにした。また、PiとPCrの共鳴周波数差に基づいて決定されるpH値を参考にすれば、Mg^<2+>濃度の推定誤差範囲を小さく出来るアルゴリズムを開発した。今後、校正を多次元化して温度変化への依存性などの要因を取り込めるようにプログラムを高性能化して行く予定である。
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