1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病病態における心筋細胞Ca^<2+>調節機構障害の細胞電気・分子薬理学的研究
Project/Area Number |
10670077
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
服部 裕一 北海道大学, 医学部, 助教授 (50156361)
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Keywords | 糖尿病 / 心筋細胞 / Na^+-Ca^<2+>交換系 / 細胞内Ca^<2+>濃度 / NCX1 mRNA |
Research Abstract |
ヒトにおける糖尿病性心筋症の病因を探るモデルとして有用であるとされているstreptozotocin(STZ)誘発性糖尿病ラットを用い、その心筋細胞内Ca^<2+>調節に筋小胞体とともに重要な役割を果たしているNa^+-Ca^<2+>交換系(NCX)ににどのような変化が起こっているかを解明しようとした。STZ45mg/kgを尾静脈より投与して作成した糖尿病ラットより4〜6週後に単離した心室筋細胞において、NCXか関与するcaffeine誘発性細胞内Ca^<2+>([Ca^<2+>]i)消退曲線は対照ラット心筋細胞のそれに比べ顕著に遷延していた。また、心筋細胞のNCX電流も有意に糖尿病により滅弱していた。糖尿病心筋において、心臓に高く発現しているNCXアイソフォームであるNCX1蛋白およびそのmRNAは有意に減少していることが認められた。糖尿病心筋細胞では細胞外Ca^<2+>濃度を上昇させると著明な拡張期[Ca^<2+>]iの上昇が見られるが、これは正常細胞でも細胞外Na^+を減少させてNCX機能を抑制させると認められた。すなわち糖尿病心筋細胞においてはNCX機能低下により、Ca^<2+>が過負荷状態になった時にその処理能力を失い、収縮機能に異常をきたすものと考えられる。本年度の研究結果は、糖尿病における心筋細胞のNCX機能の変化がその収縮性に異常をもたらす重要な要因であることを証明した。
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