1998 Fiscal Year Annual Research Report
心筋イオンチャネルに対する虚血再灌流障害及び保護薬の作用機序
Project/Area Number |
10670078
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
矢澤 和人 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212274)
|
Keywords | カルシウム電流 / リゾ燐脂質 / 心室筋 / パッチクランプ法 / モルモット |
Research Abstract |
燐脂質は細胞膜を構成する成分の中で重要であるが、虚血・再灌流時にこの代謝産物であるリゾ燐脂質の増加が認められる。リゾ燐脂質は不整脈を引き起こすが、病態生理下において心筋イオンチャネルにどの様に作用するのか、未だ明かではない点が多い。そこで本研究では心臓のポンプ機能にとって重要な心室筋のカルシウム電流に、リゾ燐脂質がどのような作用をしめすのか、また虚血・再灌流時におきるpH低下という現象がその作用に、どのような影響を与えるのか検討を加えた。 雌モルモット(体重300-600g)の心臓にランゲンドルフ法を用いて酵素処理をおこない、単離心室筋細胞を得、この細胞を用いてwhole cell clamp法にて電位固定の実験をおこなった。実験条件として細胞内の遊離カルシウム濃度はカルシウム-EGTA緩衝液で生理的な濃度である10^<-8>Mに調節した。また細胞外液は加温して35-37℃に保った。 実験結果として、 1, pHが生理的条件下およびpH低下時でもリゾ燐脂質はカルシウム電流を抑制する、 2, 細胞内外のpHを低下させた時、カルシウム電流のリゾ燐脂質に対する感受性が増大する、 3, 生理的なpHではリゾ燐脂質によりカルシウム電流の活性化および不活性化曲線は変化しないが、pH低下時では これらの曲線は左方に移動する、 ことが判明した。 現在、上記の結果について考察中である。
|