1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670081
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉岡 耕一 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (00143579)
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Keywords | 神経伝達物質 / 一酸化窒素 / アミノ酸 / トランスポータ |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)あるいはその関連代謝産物が血管内皮由来弛緩因子(EDRF)の本体であることが報告されて以来、内因性のNOが果たす生体内での多彩な役割が明かされてきた.これまで神経伝達物質の主要な放出機構として考えられてきたのは神経終末におけるシナプス小胞膜と形質膜の融合を介した開口放出であり、その過程にはCa^<2+>神経終末への流入が必要である.しかし近年、GABAやグルタミン酸を含むアミノ酸伝達物質やカテコールアミン、セロトニンなどでトランスポータの逆回転(transporter reversal)によると思われる.Ca^<2+>非依存性で非小胞性の伝達物質放出機構の存在が城告されている.そこで、新生ラット摘出脊髄標本を用いてNO供与体がアミノ酸の放出を誘発するかどうか、するとすればどのような放出機構によるのかを検討した. まず、NO供与体であるSNAP(300μM)、SIN-1(300μM)のアミノ酸放出量に対する影響を調べた.SNAPの灌流適用によってグルタミン酸、アスパラギン酸、GABA、タウリンが静止時に比べて放出量が有意に増加した.SIN-1の灌流適用によってグルタミン酸の有意な増加が見られた.その他のアミノ酸放出量の変化は有意でなかった.さらに、SNAPで誘発されるグルタミン酸、アスパラギン酸、GABA、グリシン、タウリンはCa^<2+>除去液の灌流適用により、それぞれ正味の放出量に有意な変化はなかった.それに対して低Na^+液の灌流適用によってSNAPによるグルタミン酸、GABA、タウリンの正味の放出量が有意に抑えられた.ニペコチン酸の灌流適用はSNAPによるGABAの正味の放出量を26.0±13.4%にまで抑制した. 以上のことより、NOあるいはその関連代謝産物が新生ラット摘出脊髄標本からアミノ酸の放出を誘発し、その機構がトランスポータの逆回転によるものであることが示唆された.
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[Publications] H.Suzuki et al.: "Differential effects of wortmannin on the release of substance P and amino acids from the isolated spinal cord of the neonatal rat." British Journal of Pharmacology. 125. 1661-1668 (1998)
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[Publications] J. -Z. Guo et al.: "Effects of a tachykinin NK_3 receptor antagonist, SR 142801, studied in isolated neonatal rat spinal cord." Neuropeptides. 32. 537-542 (1998)