1998 Fiscal Year Annual Research Report
バイオカスケード装置を用いた内皮由来および神経由来血管弛緩物質の測定
Project/Area Number |
10670083
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安屋敷 和秀 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10167968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 富夫 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (70152337)
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Keywords | 内皮由来過分極因子(EDHF) / 一酸化窒素(NO) / Ca^<2+>感受性K^+チャネル / チトクロームP450 / アラキドン酸 / サル舌動脈 |
Research Abstract |
内皮由来一酸化窒素(EDNO)および内皮由来過分極因子(EDHF)の解析に適切な摘出動脈標本を捜すため、種々の部位から摘出した標本の内皮細胞刺激薬、アセチルコリン(ACh)、サブスタンスP、バゾプレッシンなどに対する反応を比較するとともに、その作用機序をシクロオキシゲナーゼ阻害薬、インドメタシン(IM)、NO合成酵素阻害薬、L-ニトロアルギニン(L-NA)などを用いて解析した。その結果、サル舌動脈において、IMおよびL-NA抵抗性のACh弛緩が著しかったことからこの動脈をEDHF研究の対象とした。その他の動脈についても、EDNOないしEDHFに関する薬理学的解析を行った。 舌動脈におけるIMおよびL-NA抵抗性のACh弛緩は、内皮除去ないし高K^+処置によって消失した。グリベンクラミド、アパミン単独処置は同ACh弛緩を変化しなかったが、チャリブドトキシン(ChTX)は同弛緩を部分的に抑制し、残った弛緩はアパミン併用処置により消失した。非特異的チトクロームP450(CYP)酵素阻害薬は、同ACh弛緩を消失した。CYP3A分子種特異性のP450阻害薬、ケトコナゾール処置は同弛緩を抑制したが、他のCYP分子種阻害薬処置は弛緩に影響を及ぼさなかった。CYP酵素、補酵素およびアラキドン酸をインキュベートして得られた上清は、内皮除去舌動脈を弛緩した。この上清による弛緩は、高K^+処置またはChTXとアパミン併用処置により消失した。 以上の結果から、サル舌動脈において、AChは内皮細胞を刺激してP450酵素のうちCYP3A分子種を活性化し、アラキドン酸を基質とした弛緩物質を合成、遊離する。同物質は平滑筋細胞のCa^<2+>感受性K^+チャネルを開口して、細胞膜を過分極し、弛緩をひきおこすと考えられる。今後は、EDHFを合成、遊離すると考えられるチトクロームP450酵素の特異的抗体を用いて、EDHFの本態にせまりたい。
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