1999 Fiscal Year Annual Research Report
バイオカスケード装置を用いた内皮由来および神経由来血管弛緩物質の測定
Project/Area Number |
10670083
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安屋敷 和秀 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10167968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 富夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70152337)
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Keywords | 冠状および舌動脈 / 内皮細胞 / 一酸化窒素(NO) / 内皮由来過分極因子(EDHF) / アラキドン酸代謝物 / バイオカスケード装置 / 陰茎海綿体 / NO作動性神経 |
Research Abstract |
血管や海綿体の内皮および神経性の弛緩に、一酸化窒素(NO)が関与することを薬理学的に証明してきたが、NOの直接測定は困難である。また、血管内皮細胞はPGI_2やNO以外に、内皮由来過分極因子(EDHF)を産生・遊離するが、その本体は不明である。本研究は、バイオカスケード装置を用いて血管や海綿体の支配神経から遊離される微量の神経伝達物質の測定およびEDHFを試みた。また、酵素標品を用いて得られたEDHF様物質の張力変化を検討し、その本体に迫った。 1.バゾプレッシン(AVP)は、多くの血管を収縮するが、サル冠状動脈を内皮依存性に弛緩した。AVP弛緩は、内皮に存在するバゾプレッシンV_1受容体を刺激し、内皮細胞からNOを合成・遊離して、動脈を拡張すると考えられた。 2.サル舌動脈におけるアセチルコリンによる内皮依存性弛緩は、NOとCa^<2+>依存性K^+チャネルを開口させるCYP3A由来のアラキドン酸代謝物によると考えられた。EDHFはバイオカスケード装置で検出できなかった。 3.サポニン処置により、摘出イヌ陰茎海綿体の内皮細胞は形態的にも機能的にも障害された。正常標本との比較により、アセチルコリンは海綿体内皮からNOおよびK^+チャネル開口物質を遊離し平滑筋を弛綾すること、神経刺激による弛緩もNOによるが、内皮機能の障害には影響されないと考えられた。 バイオカスケード装置は、血管内皮由来のNOを測定できるが、神経由来のNOを測定できなかったことから、神経で産生されるNOは微量であり、しかも隣接した平滑筋にほとんど作用すると考えられた。今後、大量の神経性NOを遊離する標本を用いて、本装置を活用する予定である。また、EDHFはNOと比較して不安定で容易に失活すると考えられるので、同物質の解明には同装置は使用せず、酵素標品を用いた再構成実験を行い、研究を継続中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 岡村富夫、安屋敷和秀、戸田昇: "NO作動性神経による血管系の機能調節"実験医学. 17. 935-940 (1999)
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[Publications] Okamura T.,Ayajiki K.,Fujioka H.and Toda N.: "Mechanisms underlyng arginine vasopressin-induced relaxation in monkey isolated coronary arteries"Journal of Hypertension. 17. 673-678 (1999)
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[Publications] Ayajiki K.,Okamura T.,Fujioka H.,Imaoka S.,Funae Y.and Toda N.: "Involvement of CYP3A-derived arachidonic acid metabolite(S) in responses to endothelium-derived K^+ channel opening substance in monkey lingual artery"British Journal of Pharmacology. 128. 802-808 (1999)
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[Publications] Okamura T.,Ayajiki K.,Fujioka H.,Toda M.,Fujimiya M.and Toda N.: "Effects of endothelial impairment by saponin on the response to vasodilators and nitrergic nerve stimulation in isolated canine corpus cavernosum"British Journal of Pharmacology. 127. 802-808 (1999)
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[Publications] 岡村富夫、安屋敷和秀、戸田昇: "NOとバイアグラ"血管と内皮. 9. 50-56 (1999)