1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋の伸展刺激誘発性収縮における弾力とミオシンリン酸化との乖離について
Project/Area Number |
10670093
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小原 一男 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60117611)
|
Keywords | 血管平滑筋 / 脳底動脈 / 伸展刺激 / 収縮 / ミオシンリン酸化 / Rho / ミオシンフォスファターゼ / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
イヌ脳底動脈において伸展刺激による張力発生とミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化との関係について検討した。雌雄雑犬(体重10-18kg)の脳底動脈より作製したリング標本に機械刺激装置により伸展を加え、発生張力を記録した。また、MLCのリン酸化は等電点電気泳動法/イムノブロッティング法により測定した。テトラエチルアンモニウム(5mM)存在下、伸展刺激により張力は一過性に上昇したが、伸展15分後には静止状態まで減少した。一方、伸展刺激によりMLCのリン酸化量は増加するが、伸展15分後でもなおこの高レベルを維持しており、張力とMLCのリン酸化との間に乖離が認められた。電気泳動により伸展1分後では非リン酸化および1リン酸化MLCの2本のバンドが、また、伸展15分後では非リン酸化および1、2、3リン酸化MLCの4本のバンドが認められた。伸展刺激による収縮と伸展1分後のMLCのリン酸化の増加は、カルシウム拮抗薬のニカルジピン(100nM)およびミオシン軽鎖キナーゼ阻害薬のML-9(100μM)前処置により完全に抑制されたが、伸展15分後のMLCのリン酸化量は薬物未処置のときの約50%にまで増加した。伸展15分後のMLCのリン酸化は低分子量G蛋白質Rhoの阻害薬C3(10μg/ml)およびRhoキナーゼ阻害薬のY27632(1μM)により、また、プロテインキナーゼC(PKC)阻害薬のカルホスチンC(1μM)により抑制された。更に、フォスファターゼ阻害薬のオカダ酸(OA)により80mMKClによる収縮は抑制されたが、MLCのリン酸化量は高いレベルが維持されており、また、OAによる電気泳動パターンは伸展15分後のものと類似していた。 以上の結果より、伸展刺激による張力発生とMLCのリン酸化との乖離にRhoを介するミオシンフォスファターゼの抑制およびPKCが関与する可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] K.Obara,M.Koide,T.Ishikawa,Y.Tanabe,K.Nakayama: "Protein kinase Cδ but not PKCε activity is involved in contractile potentiation by endothelin-1in the porcine coronary artery"Journal of Cardiovascular Pharmacology. (印刷中). (2000)
-
[Publications] K.Obara,S.Hata,K.Sato,M.Koide,K.Ishii,K.Nakayama: "Contractile potentiation by endothelin-1 involves protein kinase C-δ activity in porcine coronary artery"Japanese Journal of Physiology. 49. 175-183 (1999)
-
[Publications] 増本直広、中山貢一、小原一男、田辺由幸: "脳血管のmyogenic response"血管と内皮. 8(4). 349-356 (1998)
-
[Publications] K.Obara,M.Uchino,M.Koide,K.Nakayama: "Uncoupling of force and myosin light chain phosphorylation produced by slow stretch involves Rho activity in canine basilar artery"Biophysical Journal. 74(2). A258 (1998)