1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670104
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
中田 裕康 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学, 副参事研究員 (00041830)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 修 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学, 主事研究員 (60241262)
|
Keywords | アデノシン / P3受容体 / 情報伝達機構 |
Research Abstract |
我々はアデノシン受容体とは異なりATPにも感受性のアデノシン受容体様蛋白をラット脳に見出した。いろいろな状況証拠から、このタンパクが2、3の研究グループから提唱されているが実態は明らかにされていないP3プリン受容体(心臓関連血管系の弛緩に関連するといわれ、アデノシン受容体とATP受容体の特異性を兼ね備えた受容体)であろうと考えている。したがって、この蛋白の精製、構造決定、遺伝子クローニング、などからこの蛋白がいわゆるハイブリッド型プリン受容体(P3受容体)であるか否か、そしてその生理的・薬理学的作用はいかなるものかを明らかにしようと研究を進めた。 本年度は、このタンパク質(P3 purinoceptor-like protein、P3LPと略)の精製や生理的作用を調べる上で是非必要な特異的リガンドの開発に力を注いだ。まず既知の関連化合物をスクリーニングしたところ、非特異的アデノシン受容体アゴニスト5'-N-ethylcarboxamidoadenosine(NECA)に最も強い親和性を持つことが判明したので、NECAに類縁のアデノシン関連化合物を種々合成して部分精製したP3LP標品に対する反応性を検討した。まずアデノシンの5'位の置換が親和性に重要であることを見出し、最終的に9-(6.7-dideoxy-β-D-allo-hept-5-ynofuranosyl)adenineが最も強いP3LP結合活性を持つことを明らかにした。この新規化合物は立体特異的にP3LPと結合する。また高濃度でA1アデノシン受容体を少し阻害するがA2A,A2B,A3アデノシン受容体には影響を与えないことから、P3LPの特異的かつ強力なリガンドと考えられる。また、P3LPタンパクのリガンド結合部位の性質も種々のリガンド構造-活性相関のデータより得ることが出来た。今後は、この特異的リガンドを利用して、P3LPの精製と機能を明らかにする予定である。
|
-
[Publications] A.Matsuda,H.Kosaki,Y.Saitoh,Y.Yoshimura,N.Minakami,H.Nakata: "9-(6,7-Dideoxy-β-D-allo-hopt-5-ynofuranosyl)adenine: A selective and potent ligand for P3 purinoceptor-like protein" Journal of Medicinal Chemistry. 41(15). 2676-2678 (1998)