1999 Fiscal Year Annual Research Report
変異血色素における機能異常とタンパク質の高次構造変化との関連
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10670115
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長井 雅子 金沢大学, 医学部, 教授 (60019578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 博 金沢大学, 医学部, 助教授 (00225848)
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Keywords | ヘモグロビン / 紫外共鳴ラマン / 近紫外円二色性 / アロステリー / 4次構造変化 / 芳香族アミノ酸 / T状態マーカー |
Research Abstract |
235nm励起のUV共鳴ラマンでは、ヘモグロビン中のTyrとTrpのラマンバンドは別々の位置にあらわれるので、両アミノ酸の変化は同時かつ別個に調べることが出来る。ヘモグロビンのデオキシ型からリガンド型に変わったときのこれら芳香族アミノ酸の変化を調べると、Tyrには強度変化と波数シフトが、Trpでは強度変化が主であった。最近、我々は変異Hbを用いた研究により、Trpの変化はβ37Trpによること、またTyrの変化の一部はα42Tyrによることを明らかにした。しかし、残りのTyrの変化はどの部位のアミノ酸によるか分からない。サブユニット界面に位置して、この構造変化に関わりそうなTyrはα42Tyrの他にα140Tyr、β35Tyrとβ145Tyrがある。今年度はUV共鳴ラマンの変化に寄与するTyrをさらに追及するため、α140Tyr、β35Tyrの変異体およびβ145Tyrを酵素的に除去した修飾ヘモグロビンを用いて検討し、β35Tyrの寄与はほとんど見られないが、β145Tyrは強度変化に、又α140Tyrは波数シフトと強度変化の両方に寄与することが明らかとなった。その結果をBiochemistryに発表した。一方でNOHbを用いて、4次構造変化とα鎖の近位Hisの寄与を同じく235nm励起UVRRで調べ、その結果を同じくBiochemistryに発表した。 また、T-stateマーカーとしてよく用いられるデオキシ型での287nmの負のCD帯が何に由来するかも追及した。CD帯の位置からしてTyrやTrpの変化によることが考えられ、今回はα140Tyr、β37Tyrの寄与を2つの異常Hb、Hb Rouen(α140Tyr->His)とHb Hirose(β37Trp->Ser)を用いて調べた。その結果、α140Tyrとβ35Trpの287nmの負のCD帯に対する寄与はそれぞれ30%、26%と見積もることが出来、その結果は第7回CDに関する国際会議(8月25日-29日、ポーランド)にて発表し、Chiralityに投稿し受理された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M. Nagai, H. Wajcman, A. Lahary, T. Nakatsukasa, S. Nagatomo, & T. Kitagawa: "Quaternary Structure Sensitive Tyrosine Residues in Human Hemoglobin : UV resonance Raman Studies of Mutants at α140, β35, and β145 Tyrosine"Biochemistry. 38・4. 1243-1251 (1999)
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[Publications] S. Nagatomo, M. Nagai, A. Tsuneshige, T. Yonetani, & T. Kitagawa: "UV Resonance Raman Studies of αNitrosyl HbDerivatives: Relation Between α1-β2 Interface Interactions and the Fe-Histidine Bonding of αHeme"Biochemistry. 38・30. 9659-9666 (1999)
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[Publications] R. Li, Y. Nagae, & M. Nagai: "Contribution of α140Tyr and β37Trp to the Near-UV CD Spectra on Quaternary Structure Transition of Human Hemoglobin A"Chirality. 印刷中.