1998 Fiscal Year Annual Research Report
Fasリガンドに結合する新規の細胞表面蛋白質の同定
Project/Area Number |
10670140
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長田 重一 大阪大学, 医学部, 教授 (70114428)
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Keywords | アポトーシス / Fasリガンド / メタロプロテーゼ / IL-1 / カスパーゼ / 炎症反応 |
Research Abstract |
Fasリガンド(FasL)はその受容体Fasに結合しアポトーシスを誘導する。FasLはタイプII蛋白質として合成されるが、ある種のmetalloproteinaseによって切断される。この可溶化の役割、すなわち、膜型と可溶型のFasLどちらが活性を持つかを検討した。まず、ヒトFasL発現細胞より可溶型FasLを精製しそのN-末端配列より、metalloproteinaseによる切断部位を決定した。次いで、この切断部位に変異を導入し、可溶型になりえないFasLを発現する細胞株を樹立し、その細胞のアポトーシス誘導能を可溶型FasLのそれと比較した。その結果、Fasに感受性の高い細胞は可溶型FasLによってアポトーシスをひきおこしたが、マウス肝細胞や、リンパ球細胞などは、膜結合型FasLによってのみアポトーシスを引き起こした。以上の結果は、FasLは本来、膜結合型として作用し、可溶化によりその活性がdown-regulationされることを示している。ところで、FasLを構成的に発現する腫瘍細胞をマウスに移植するとinflammationが誘導され腫瘍は速やかに除去される。この分子機構を明らかにするため、FasLを発現する細胞を腹腔内細胞と培養した。この細胞はFasLによって死滅したが、その際、培養液中には、顕著なIL-1βの蓄積が認められた。このIL-1βの放出はcaspaseの広範な阻害ペブチドz-VADによって阻止された。一方、IL-1を欠質したマウスにFasLを発現する癌細胞を移植したところ、野性型のマウスに較べ好中球のinflammationは顕著に抑えられた。以上の結果は、好中球がアポトーシスを起こして死滅する際に活性化されるcaspaseがIL-1βの産生を誘導し、これがinflammationに関与していることを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Enari,M.et al.: "A caspase-activated DNase that deqrades DNA during・・・・" Nature. 391. 43-50 (1998)
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[Publications] Sakahira,H.et al.: "Clevage of CAD inhibitor in CAD activation and DNA・・・・" Nature. 391. 96-99 (1998)
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[Publications] Tanaka,M.at al.: "Down-regulation of Fas ligand by shedding." Nature Med.4. 31-36 (1998)
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[Publications] Miwa,K.et al.: "Caspase 1-independent IL-1B release and inflammation・・・・" Nature Med.4. 1287-1291 (1998)
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[Publications] Fukuyama,H.et al.: "Transgenic expression of Fas in T cells blocks・・・・" J.Immulnol.160. 3805-3811 (1998)
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[Publications] Kawahara,A.et al.: "Caspase-independent cell killing by Fas-associated・・・・" J.Cell Biol.143. 1353-1360 (1998)