2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大和谷 厚 大阪大学, 医学部, 教授 (30116123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 由美子 大阪大学, 医学部, 助手 (60301264)
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Keywords | ヒスタミン / マイクログリア / リポ多糖 / サイトカイン / ヒスチジン脱炭酸酵素 / 肥満細胞 / レプチン / インターロイキン1β |
Research Abstract |
哺乳類の脳内には平均500pmol/gのヒスタミンが存在し、その約40%は脳内肥満細胞に由来し、残りの約60%の大部分はヒスタミンを伝達物質とするヒスタミンニューロンに由来すると考えれられる。しかし、われわれは脳内にリポ多糖あるいはインターロイキン1βを投与すると、肥満細胞および神経細胞以外の脳内の細胞においてヒスチジン脱炭酸酵素が誘導され、ヒスタミン遊離が増加することを認めた。本研究は、この現象の責任細胞と誘導機構を明らかにし、さらに、病態生理的意義を明らかにすることを目的に進めた。 本年度の株化した培養マクログリア細胞を用いた実験により、ヒスチジン脱炭酸酵素の誘導現象は(1)分化抗原であるLy-6Cが陰性であるマイクログリアに認められること、(2)mRNAの発現を介した新たな蛋白合成によること、(3)この誘導には細胞内のカルモジュリンキナーゼIIが関与していることを認め、責任細胞はマイクログリアであることを確定した。この誘導現象の病態生理学的意義を調べるために、炎症に伴う脳浮腫および血液脳関門透過性亢進を中心に検討したが、現時点では未だ確定的な証拠は得られていない。 一方、脳内ヒスタミンの生理的意義に関して同時に行った実験により、食欲抑制ホルモンであるレプチンが脳内ヒスタミンの遊離を増強すること、この作用が鼓索神経を介していること、レプチン食欲抑制効果はヒスタミンH1-受容体欠損マウスでは認められないことを新たに見出した。この知見は食欲制御における脳内ヒスタミンの新たな生理的意義として大変興味が持たれ、また各種炎症によりマイクログリアから遊離されたヒスタミンが中枢性に食欲を抑制する可能性も示唆され、病態生理学的にも重要であると考えられる。 さらに実験を進め、脳内ヒスタミンの生理的および病態生理的意義について総合的に研究し、明らかにしていく予定である。
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[Publications] T.Morimoto,Y.Yamamoto,A.Yamatodani: "Leptin facilitates histamine release from the hypothalamus in rats"Brain Res.. 868(2). 367-369 (2000)
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[Publications] T.Morimoto-Ishizuka,Y,Yamamoto,A.Yamtaodnani: "The role of the chorda tympani nerve in the activation of the rat hypothalamic histaminergic system by leptin."Neurosci.Lett. 300. 107-110 (2001)
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[Publications] Y.Katoh,M.Niimi,Y.Yamamoto,H.Takemori,M.Sawada,A.Yamtodani: "Lipopolysaccharide (LPS) enhances histidine decarboxilase (HDC) activity and mRNA level in mice microglial cell line, GMI 6-3."Neurosci.Res.. Suppl.14. S106 (2000)
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[Publications] Y.Katoh,M.Niimi,Y.Yamamoto,H.Takemori,M.Sawada,A.Yamtodani: "Histamine production by cultured micrglial cells."Neurosci.Lett.. (in press). (2001)