1998 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍細胞走化性促進因子、PD-Iの作用機構およびがんの高転移性との関連について
Project/Area Number |
10670142
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐野 公彦 神戸大学, 医学部, 講師 (40205993)
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Keywords | ホスホジエステラーゼI / グリオーマ / エクトエンザイム / PC-1 / PDNP |
Research Abstract |
がん細胞走化性促進因子として同定されたPD-Iはphosphodiesterase Iおよびnucleotidepyrophosphatase活性を有するII型膜蛋白質(N末端が内側)である。PD-Iには3つのファミリー遺伝子/蛋白質、PC-1,PD-Iα/autotaxin,PD-Iβ/B10/gpl30^<RB13-6>が存在する。この内、我々はPD-IαとPD-Iβについてクローニングし、解析を行ってきた。これまでの解析により、これら三つの分子は酵素活性を持ち、腫瘍細胞走化性促進活性には酵素活性ドメインが必要であること、また、PD-Iαは神経芽細胞腫に発現しており、リコンビナントPD-Iαはヒト神経芽細胞腫細胞株に対して細胞走化性促進活性を示す事を報告してきた。本研究においてはPD-Iβに焦点を当て、その遺伝子構造、転写調節、細胞走化性促進活性、および細胞内局在について、それぞれ解析を行った。まず、PD-1β遺伝子の発現をヒト・グリオーマ細胞で解析した。その結果、解析したすべての細胞株でPD-Iβ遺伝子の高い発現が認められた。 次に、PD-Iβが腫瘍細胞の浸潤能に影響を与えるかどうかを、PD-Iβ遺伝子を発現していないラットグリオーマ細胞株、C6細胞にpBK-CMV-PDIBプラスミドを導入して、stable transformantを樹立した。得られた細胞をin vitroでコラーゲン・マトリックスゲルの上に培養し、ゲル内に浸潤した細胞の数を計測した。その結果、PD-Iβを恒常的に発現する細胞は明らかに高い浸潤能を示した。また、ラット9Lグリオーマ細胞を用いたルシフェラーゼ・アッセイの結果、PD-Iβ遺伝子の転写には-245bpまでの領域が必要であった。また、部位特異的変異導入法によってPD-Iβの酵素活性にはEF hand配列が必須である事を明らかにした。
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