1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規に見出されたGABA_A受容体サブクラスの生理的役割の解明
Project/Area Number |
10670149
|
Research Institution | TOKYO METROPOLITAN ORGANIZATION FOR MEDICAL RESEARCH |
Principal Investigator |
尾上 浩隆 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (80214196)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 恭良 大坂バイオサイエンス研究所, 第3部門, 研究部長 (40144399)
|
Keywords | ポジトロンエミッショントモグラフィー / GABA_A受容体 / ベンゾジアゼピン / サル / Ro15-4513 / 辺縁系 / 前部帯状回 |
Research Abstract |
最近我々は、ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)を用いたインビボの受容体結合実験で、霊長類の脳辺縁系にのみ局在するγ-アミノ酪酸(GABA)_A/benzodiazepine(GABA_A/Bz)受容体のサブクラスを見出した。脳内分布から判断して、このGABA_A/Bz受容体のサブクラスは、Bz系薬物の抗不安薬作用や記憶・学習に対する作用に関与する可能性が高いと考えられた。前年度はサルを用いた断眠負荷実験を行い、[^<11>C]Ro15-4513の脳内における結合活性が断眠負荷後に著しく増大することを見出した。Ro15-4513のパーシャルインバースアゴニストとしての薬理学的な性質を考えると、この結合活性の変化は、脳内におけるGABA_A/Bz受容体の機能状態に関係していることが考えられた。そこで今年度は、GABA_A/Bz受容体にアロステリックな機能変化をもたらす物質が[^<11>C]Ro15-4513及び[^<11>C]Ro15-1788の結合能に及ぼす影響を、PETによるインビボの薬理学的実験により検討した。その結果、NMDA受容体拮抗作用があり、GABA_A/Bz受容体には作用しないケタミン麻酔下と比較して、GABA_A/Bz受容体にアロステリックな変化をもたらすことが知られるプロポフォール麻酔下において、[^<11>C]Ro15-4513結合能は顕著に低下し、すなわち親和性の低下が認められた。またこの変化はGABA_A受容体のアロステリックな変化には影響されないと考えられるBzアンタゴニストである[^<11>C]Ro15-1788では認められなかった。したがって、PETがとらえた[^<11>C]Ro15-4513の結合変化は、生きた脳の中でGABA_A受容体が、神経活動や調節物質の種類、度合いによって様々変化する機能状態を反映していることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 尾上浩隆: "サル脳の非侵襲機能マッピング"脳21. 2・2. 197-201 (1999)
-
[Publications] 尾上浩隆、渡辺恭良: "陽電子断層撮影法(PET)によるサル脳のイメージング"脳の科学. 21・8. 862-866 (1999)
-
[Publications] 尾上浩隆: "陽電子断層撮影法(PET)を用いた睡眠研究"臨床脳波. 42・2. 69-73 (2000)