1998 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍の免疫寛容獲得機序における抗原提示能の関与の解析
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10670152
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
三代川 斉之 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (20182058)
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Keywords | 腫瘍免疫 / MHC / HLA class I / TAP / 免疫組織化学染色 / in situ RT-PCR / 大腸癌 / 大腸腺腫 |
Research Abstract |
本年度の目標は、MHCやTAP分子の発現低下が報告されている大腸癌を用いてその再現性を検討することである。 用いた症例は、大腸癌症例10例(手術症例及び内視鏡的粘膜切除術(EMR)症例各5例)、EMR腺腫内癌症例5例、前癌病変である大腸腺腫症例15例(高度異型・中等度異型・軽度異型症例各5例)の合計30症例で、全てホルマリン固定材料を用いた。 1. 腫瘍抗原提示に関与する分子の免疫組織化学染色:市販の抗MHCクラスI抗体2種類及び抗TAP抗体1種類を用い免疫組織化学染色したが、いずれの抗体もすべての症例で反応せず、ホルマリン固定標本の各種抗原賦活法(5種類)も試みたが、ごく微弱な陽性像をみるのみで、定量化に適した抗体では無かった。しかし、凍結標本とAMeX固定標本では良好な反応性を認めたので、今後は凍結検体やAMeX固定検体で再度抗原定量化を進める予定である。HSP72、Calnexin、Grp94抗体は反応性良好で各病変との相関を解析中である。 2. 組織上でのMHCクラスI分子のmRNA定量化:大腸癌と大腸腺腫各5症例を用いてin situ RT-PCRを行い、MHCクラスI(HLA-A,B,C)各遺伝子をmRNAより合成増幅した。発色法では各症例及び同一標本上の正常粘膜上皮で明らかな差異はない。差異検出限界のPCR条件を再検討する必要がある。また凍結標本・AMeX固定標本を用いた検討も必要と考えられた。 3. 遺伝子異常検討:現在p53の第6exonに関するPCR-SSCPを行っているが、MHCクラスI遺伝子に明らかな発現の差異を確認できないため調節領域を含めた遺伝子解析には至っていない。 同様の解析を食道扁平上皮癌に関しても同時展開中である。 以上の結果は、平成11年5月臨床衛生検査技師学会北海道地方会(旭川)にて発表予定である。
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