1998 Fiscal Year Annual Research Report
消化管内分泌細胞腫瘍の発生・浸潤・転移と人種間異同の分子病理学的解析
Project/Area Number |
10670155
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩渕 三哉 新潟大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70143766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 英伸 新潟大学, 医学部, 教授 (70037381)
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Keywords | 消化管 / カルチノイド腫瘍 / 内分泌細胞癌 / 消化管ホルモン / 小細胞癌 / アミン / ペプチド |
Research Abstract |
日本人の消化管内分泌細胞腫瘍群(外科的切除例・生検例約400例と食道・胃・直腸原発の内分泌細胞癌継代移植株6種とカナダ国Ontario州Hamilton市McMaster大学Medical Centreの消化管内分泌細胞腫瘍群とを病理学的・分子病理学的に解析し、以下の知見を得た。なお、人種間異同の解析は現在遂行中である。 「組織発生と進展」カルチノイド腫瘍は幼若内分泌細胞に由来することを示した。内分泌細胞癌は、(1)通常型分化型腺癌および腺管絨毛腺腫、(2)多分化能幹細胞、(3)カルチノイド腫瘍、(4)幼若内分泌細胞からの発生が想定され、高頻度の経路は(1)であり、特に、粘膜内分化型腺癌深層部に発生した腫瘍性内分泌細胞クローンの選択的増殖により形成される内分泌細胞癌が最も多いことを明らかにした。免疫組織化学的に、カルチノイド腫瘍はKi-67陽性細胞率1〜2%以下、p53陽性腫瘍頻度0%であり、内分泌細胞癌は、それぞれ20〜50%、40〜50%であることを示し、遺伝子面からも両腫瘍が発生経路と悪性度とを異にすることを明らかにした。 「病態把握と産生物質」ホルモン検索による病態把握のためには、本腫瘍群を好銀性カルチノイド腫瘍(マーカーホルモン:発生部位に特徴的なペプチドホルモン)、銀親和性カルチノイド腫瘍(セロトニン)、内分泌細胞癌(セロトニン)に亜分類するべきことを示した。原発巣でのホルモン産生の特性は転移巣でも保持されることを示した。 「培養株」内分泌細胞癌株が母腫瘍の機能的特性(セロトニン、ペブチドYY,腸グルカゴン、カルシトニン産生)を良く保持していること、食道内分泌細胞癌由来株にはVincristinとMitomycin Cが有効であったが、他の株では有意な効果は得られないことを示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 岩渕 三哉: "日本と欧米との消化器癌の組織診断基準-相違と歩み寄り" 新潟大学医療技術短期大学部紀要. 6巻・3号. 303-312 (1998)
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[Publications] 西倉 健: "消化管カルチノイドと内分泌細胞癌" 内分泌外科. 15巻・2号. 75-81 (1998)
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[Publications] Riddell RH: "Problems arising from Eastern and Western classilication systems for gastrointestinal dysplasia and carcinomas" Histopathology. 33巻. 197-202 (1998)
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[Publications] Masubayashi H: "Histogenesis of pancrectic cluct carcinoma by analysis of guality of mucus and K-ras gene mutation." Cancer. 82巻・4号. 651-660 (1998)
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[Publications] Matsubayashi H: "p53 immunostoining and POA PCR amplification of p53 soppressor gene information-fixed tissue of human colorectal carcinomas" J Gastroenterology. 33巻. 662-669 (1998)
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[Publications] Kuwabara S: "Heterogeneity of p53 mutation status in esophageal squamous cell cartinoma" Jpn J Cancer Res. 89巻・4号. 405-410 (1998)
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[Publications] 西倉 健: "消化管疾患-胃・腸" 医歯薬出版, 450 (1998)
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[Publications] 渡辺 英伸: "肝・胆・膵、フロンティア2「胆裏癌」" 診断と治療社, 211 (1998)