1998 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ節樹状細胞の正常および各種疾患における動態の検討
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10670161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 聖之 岡山大学, 医学部, 助教授 (90101815)
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Keywords | 樹状細胞 / リンパ節 / 分化 / サイトカイン |
Research Abstract |
ヒト樹状細胞の分化過程,成熟,アポトーシスなどの動態を明らかにするために,ヒト腋窩リンパ節を乳癌患者より手術時に採取し,その一部から凍結切片を作成し,免疫組織化学的に樹状細胞をin situで検索すると同時に,それより得られた浮遊リンパ節細胞を,各種サイトカインの存在下,非存在下に数日間培養して,その形態,イムノフェノタイプ,アポトーシスの有無などを,酵素抗体法,蛍光抗体二重染色法,三重フローサイトメトリー法などで検索した。その結果,腋窩リンパ節などの表在リンパ節では,樹状細胞が,その分布,形態,イムノフェノタイプによって三つのグループに分かれることを明らかにした。即ち,(1)主としてリンパ洞やその近傍に存在する非樹状形態のCD1+/CD86-/CD83-小型細胞,(2)T-zoneに存在し樹状形態を示すCDl-/CD86-/CD83+中型細胞,(3)過形成を示す傍皮質領域にグループをなして存在する著しい樹状形態を示すCD1bright/CD86+/CD83+大型細胞であった。 リンパ節から浮遊細胞として得られる樹状細胞の大多数は(1)のグループに属するが,サイトカイン非存在下で数日培養することによって,これらが(2)のグループに分化することが判明した。さらに免疫刺激性サイトカインGM-CSFの存在下で培養すると(3)のグループに類似する細胞に変化するが,免疫抑制性サイトカインIL-10は逆に樹状細胞の成熟を抑制し,アポトーシスを誘導するという結果を得た。それらの結果から,(1)群の樹状細胞は表皮から移住してきて間もない未熟な分化段階にある細胞,(2)群は成熟したinterdigitating cell(IDC)であり,(3)群は活性化した樹状細胞に相当するものと考えられた。そしてこれらの樹状細胞は一元的に表皮ランゲルハンス細胞に由来することを示すものであった。以上の結果をAmerican Journal ofPathology(1998,153:745-755)に発表した。
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Research Products
(1 results)