1999 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ節樹状細胞の正常および各種疾患における動態の検討
Project/Area Number |
10670161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 聖之 岡山大学, 医学部, 教授 (90101815)
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Keywords | 樹状細胞 / 分化・成熟 / 担癌 / ランゲルハンス細胞 / IDC |
Research Abstract |
平成10年度の研究では乳癌患者における表在リンパ節の樹状細胞(DC)について検索したが,平成11年度は,大腸癌および胃癌患者から手術時に摘出された所属リンパ節をインフォームドコンセントを通じて検索する機会を得,このリンパ節の樹状細胞(DC)を含む免疫細胞を,新鮮ないし短期培養後,フローサイトメトリー,蛍光抗体二重染色法,および電顕的検索を行い,DCの動態を観察した。その結果として,(1)これらの腹腔リンパ節ではCD1抗原を発現するランゲルハンス細胞(LC)型DCは殆ど存在しないこと,(2)非LC型のDCは存在するが,表在リンパ節に比べて数が少く,分化したDCは特に少いこと,(3)TGF-β1などによってこれらのDCの一部にCD1などのLC抗原を誘導できること,(4)短期培養によるDCとしての成熟は表在リンパ節ほど顕著でない事などが判明した。非癌患者からのコントロールの解析が不足しているが,これらが担癌状態における免疫抑制状態を反映したものでなく,正常の消化管におけるDCの不活発な動態を反映している事が推定された。すなわち消化管では表皮のような活発なDCの抗原トラップや,インターディギテーティング細胞(IDC)への分化・成熟がおこらないものと考えられ,この事は消化管粘膜を通じて,むしろ免疫寛容が誘導される事実との関連で興味深く,今後さらなる検討が必要である。血中のDC前駆細胞については担癌患者と健康人で有意差はなかった。しかし血液単球由来のLC型未熟DCの成熟に抗原非特異的なT細胞との相互作用が重要であることが判明した。
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