1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670163
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 徹 九州大学, 医学部, 教授 (40221098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 諭 九州大学, 医学部, 助手 (90294917)
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Keywords | 脳腫瘍 / 上衣腫 / 癌遺伝子 / SV40 / p53 / MDM2 |
Research Abstract |
本研究では上衣腫の腫瘍形成機序を病理形態学的手法と分子生物学的手法を用いて以下の3項目について解析した。 1) 上衣腫13例を含むグリオーマ33例について、ホルマリン固定パラフィン包埋切片より抽出したDNAからPCRを行いSV40 largeT抗原のDNA断片の増幅を試みたところ、上衣腫4例についてPCR産物が得られた。これらのPCR産物について、SV40 largeT抗原の非放射性cRNA probeを用いてサザンブロットを行うといずれも陽性所見を得たので、さらにその塩基配列を決定し、類縁のポリオーマウイルス遺伝子などの非特異的な遺伝子の増幅でないことを確認した。 2) p53遺伝子の遺伝子変異の有無を免疫組織化学染色でスクリーニングし、その頻度が星細胞腫群に比べて極めて少ないことを見いだした。p53の免疫染色で陽性を示した症例についてSSCPによる解析を進めているが、今のところ遺伝子変異を示唆する結果は得られていない。 3) 20症例の上衣腫組織(計26サンプル)についてMDM2遺伝子の過剰発現を免疫組織化学染色で、遺伝子増幅をdifferential PCR法にて解析したところ、免疫染色で96%が陽性で高率に過剰発現が起きていることが証明された。その機序の一つとして遺伝子増幅が35%でみとめられ上衣腫の分子レベルでの発生機序としてMDM2遺伝子の過剰発現が重要であることを証明した。MDM2の過剰発現はp53の機能抑制的に働くと考えられ、むしろp53の異常が少ない上衣腫に高頻度に見られることが確認できた。
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