1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい細胞死magentosisにおけるポリADPリボシル化の意義
Project/Area Number |
10670176
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
堤 寛 東海大学, 医学部, 助教授 (80138643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 真一 東海大学, 医学部, 講師 (30230808)
竹腰 進 東海大学, 医学部, 助手 (70216878)
梅村 しのぶ 東海大学, 医学部, 助手 (20276794)
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Keywords | magentosis / 授乳期乳腺 / 離乳 / 実験モデル(ラット) / ポリADPリボース / 甲状腺乳頭癌 / アポトーシス |
Research Abstract |
われわれは、ヒト授乳期乳腺の退縮早期にapoptosisと異なる特徴ある細胞死を見いだし、magentosisと名づけた。Magentosisの核はHE′染色上均一無構造を呈し、PAS染色陽性(magenta色に染まる)であり、一本鎖DNAの蓄積を伴う。本年度は以下の3点について研究を行った。 (1) ヒト内分泌臓器におけるmagentosis:諸種正常内分泌臓器をスクリーニングしたが、magentosisの所見は認めなかった。しかし、1例の甲状腺乳頭癌細胞の核にmagentosisが見いだされたので現在投稿準備中である。(2) magentosisの動物モデル作製:妊娠・授乳・離乳の各期のウィスター系雌ラットの乳腺を採取し、組織化学的、電顕的に解析した。CaseinないしlysozymeよりなるPAS陽性球状物質が観察されたものの、magentosisの所見は認められなかった。apoptosisは離乳後4日に多く観察され、10日頃には細胞数の減少が目立った。一方、離乳18日の乳腺組織において変性上皮細胞が頻繁に観察されたが、電顕的には小胞体・ミトコンドリアの膨化がみられ、壊死に至る過程と考えられた。授乳5,11日に強制離乳を行った場合、授乳中に卵巣切除を行った場合も合わせ検討したが、離乳後にみられる細胞変性像が主体であり、magentosisの所見は観察できなかった。 (3) magentosisにおけるポリADPリボシル化の関与の検討:pADP5μgをニトロセルロース膜にスポットしPAS染色を行った結果、粘液やグリコーゲンに比して弱いものの、明らかな陽性所見が得られた。また、magentosis陽性のヒト授乳期乳腺およびラット授乳期乳腺のバラフィン切片に対して、Trevigen社製抗poly(ADP-ribose)抗体(ポリクローナルおよびモノクローナル)を用いた免疫染色を行った。しかし残念ながら、陽性所見は得られなかった。現在さらに検討中である。
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