1998 Fiscal Year Annual Research Report
移植腎・拒絶反応におけるアポトーシス発現とその防御の分子制御
Project/Area Number |
10670179
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 助教授 (60202511)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 武 東邦大学, 医学部, 教授 (30166714)
|
Keywords | 移植腎 / アポトーシス / Fas / Fas ligand / 拒絶反応 |
Research Abstract |
移植腎の拒絶反応におけるアポトーシスの関与を解明するため、アポトーシス遂行分子であるFas ligand(FasL)/Fasの発現性を検索した。当大学腎センターで採取された移植腎生検材料42例をBanff分類からAcute rejection(AR)13例、Acute/chronic rejection(ACR)9例、Borderline rejection(BR)8例、No rejection(NR)12例に分類し、FasL/Fasの発現性を免疫組織化学的に検索した。両分子ともに浸潤リンパ球に発現しており、またFasは主に尿細管上皮に発現していた。FasLの浸潤リンパ球における発現頻度はBRやNRに比してARで有意な発現様式を示し、またFasの尿細管上皮における発現頻度もBRやNRに比してARで有意な発現様式を示した。さらにTUNEL法によるDNA断片化の組織学的検索ではBRやNRに比してARでDNA断片化を示す尿細管上皮の有意な増加がみられ、ARにおける尿細管アポトーシスの発現を確認した。この結果、両分子の発現と尿細管アポトーシスの密接な関係が示唆された。 そこでFasの機能性を培養ヒト正常尿細管上皮とメサンギウム細胞を用いて検索した。両細胞株では定常状態ないしはINF-γ刺激下でFas mRNAの発現がRT-PCRにて確認できたが、FasLは発現していなかった。さらにFas抗原を刺激しアポトーシスを誘導する抗Fas抗体を投与したところ、両細胞株のうちINF-γ刺激下の尿細管上皮のみにアポトーシスが誘導された。したがってINF-γ刺激により尿細管上皮は機能的なFasを発現誘導することが証明された。以上の結果から移植腎の急性拒絶反応ではINF-γ等のサイトカインにより機能的なFasが発現誘導され、このFasに浸潤リンパ球に発現するFasLが作用し尿細管アポトーシスが誘導され、その細胞障害が惹起されると考えられた。
|