1999 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化におけるプラーク破裂の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
10670181
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
勝田 省吾 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40110613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地崎 赴美子 金沢医科大学, 医学部, 助手 (90102037)
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Keywords | 動脈硬化 / プラーク破裂 / 細胞外マトリックス / マトリックスメタロプロテアーゼ / 分子機構 |
Research Abstract |
粥腫性硬化巣(プラーク)破裂における平滑筋細胞/マクロファージとマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の役割を検討した。本研究では新しく開発したFilm in situ Zymography(FIZ)法と免疫組織化学併用によってMMP活性化機構を解析し,次の成果を得た。 1.プラークの肩領域では,主にマクロファージがMMP-1,MMP-2を産生し,MMP-3,MMP-9,TIMP-1,TIMP-2は平滑筋細胞,マクロファージからほぼ同程度に産生されている。 2.線維性被膜では各種MMP_S,TIMP_Sは平滑筋細胞,マクロファージからほぼ同程度に産生されているが,特にMMP-1,MMP-2の産生が強い。 3.脂質コアではMMP-1は主にマクロファージから産生され,MMP-2,MMP-3,MMP-9,TIMP-1,TIMP-2は平滑筋細胞,マクロファージからほぼ同程度に産生されている。 4.FIZ法でプラークにおいて実際にゼラチン(MMP-1によって切断され,体温で変性したコラーゲン)が分解されていることが証明された。特にプラークの肩領域での分解活性が他の領域に比べて高く,マクロファージの産生するMMP-2によることが示された。 以上,本研究によって各種MMP_Sがプラークを構成する細胞外マトリックスを分解し,プラークの脆弱化を引き起こすことが示された。特にプラーク破裂の好発部位である肩領域ではマクロファージの産生するMMP_Sが重要な役割を果すことが明らかとなった。今後,マクロファージおよび平滑筋細胞における各種MMP_Sの遺伝子発現調節機構を解析し,心筋梗塞,脳梗塞の原因となるプラーク破裂の予防に向けての研究を発展させたい。
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