1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 健司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90253533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 和貴 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (20217657)
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
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Keywords | K-ras / H-ras / N-ras / 標的遺伝子置換 / ES細胞 / ジーンターゲッティング / ノックアウトマウス / マウス |
Research Abstract |
我々は、生体における3種Rasタンパク質の生理機能と特異性を知るため、これまでにH-ras、N-ras、K-ras遺伝子欠損マウスを作成した。個々のras遺伝子欠損マウスに認められる異常(正常マウスとの違い)を手がかりとしてRasが関与する生命現象を同定し、さらにその現象がこれまでに蓄積されてきたRasを介するシグナル伝達経路により説明できるかどうか、あるいは新たな経路が存在するかどうかを検討した。その結果、H-ras欠損マウスとN-ras欠損マウスが正常に発生、成長するのに対して、K-ras欠損マウスは心臓の異常による胎生致死となり、心筋細胞の増殖にK-Rasが必須であることが分かった。これらの事実からは、3種Rasタンパク質の機能は、異なっていると考えられる。しかし、さらに各ras遺伝子欠損マウス同士を交配し、ras多重遺伝子欠損マウスを作成した結果、N-rasホモ型欠損、K-rasヘテロ型欠損マウスが致死となること、K-ras欠損マウスにH-ras欠損が加わると胎生致死の時期が早期に移行する事から、3つのRasタンパク質の間には重複する機能もあることが判明した。これは、K-ras遺伝子欠損マウスにヒトのH-ras遺伝子を導入したトランスジェニックマウスが、正常に発生、成長することからも強く示唆された。本研究では、生体における各Rasタンパク質の機能重複をさらに明らかにするため、K-ras遺伝子をH-ras遺伝子に置き換え、K-ras遺伝子発現制御下においてH-Rasタンパク質を発現するマウス個体の作成が進行中である。これは我々が開発した標的遺伝子置換法を用いて、K-ras遺伝子の第2エクソン内にH-ras cDNAを導入し、K-ras遺伝子発現制御下においてH-Rasタンパク質を発現するマウスを作成するものである。さらに、CRE-loxPシステムを用いて遺伝子発現をコンディショナルに制御できる、ヒトH-ras遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作成した。現在、このトランスジェニックマウスは、H-ras、N-ras、K-ras遺伝子欠損マウスと交配を進めており、今後胎生致死のため解析できなかった生体での生理機能と特異性を明らかにすることができる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sato,T., et al.: "Transgenic mice harboring a full-length human mutant DRPLA gene exhibit age-dependent intergenerational and somatic instabilities of CAG repeats comparable with those in DRPLA patients."Human Molecular Genetics. 8. 99-106 (1999)
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[Publications] Naito,A., et al.: "Severe osteopetrosis, defective interleukin-1 signalling and lymph node organogenesis in TRAF6-deficient mice."Gene to Cells. 4. 353-362 (1999)
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[Publications] Sugiyama, T., et al.: "Localization of phospholipase Cbeta isozymes in the mouse cerebellum"Biochem Biophys Res Commun. 19. 473-478 (1999)
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[Publications] Sato,T., et al.: "Transgenic mice harboring a full-length human DRPLA gene with highly expanded CAG repeats exhibit severe disease phenotype."American Journal of Human Genetics. 65. 154-154 (1999)
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[Publications] Sunahara, S., et al.: "The oocyte-specific methylated region of the U2afbp-rs/U2af1-rs1 gene is dispensable for its imprinted methylation"Biochem Biophys Res Commun. 16. 590-595 (2000)