1999 Fiscal Year Annual Research Report
カルシニューリンをレギュレーターとする新しいプログラム細胞死制御機構の解析
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10670207
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 英作 岡山大学, 医学部, 助手 (30252951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 正之 岡山大学, 医学部, 助手 (30273965)
森脇 晃義 岡山大学, 医学部, 講師 (10144742)
松井 秀樹 岡山大学, 医学部, 教授 (30157234)
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Keywords | カルシニューリン / Bcl-2 / アポトーシス / リン酸化制御 / 神経細胞死 / Bリンパ球 |
Research Abstract |
1997年Nature vol.386に発表したカルシニューリンとBcl-2遺伝子の特異的結合現象より発展的に、カルシニューリンによるBcl-2遺伝子の機能制御とアポトーシスを焦点とした生体現象への関わりを中心に解析している。結果として、Bcl-2遺伝子は脱リン酸化によりアポトーシス抑止機能を発揮すること(逆にリン酸化型Bcl-2はそれ自身アポトーシス誘導能を有すること)、Bcl-2の脱リン酸化にはカルシニューリンのみならず複数のフォスファターゼが関与すること、カルシニューリンのBcl-2上の標的アミノ酸残基はLoop部位Ser70とともにBH4ドメイン内Ser24である可能性があることを現在解析中である。この解析にあたってSer70およびSer24に対する特異的抗リン酸型Bcl-2抗体の開発に成功し、ヒト白血病細胞に対する数種の抗腫瘍剤の作用効果におけるBcl-2リン酸化部位の変化・動態やヒト癌外科摘出組織(乳癌・大腸癌など)でのリン酸化型Bcl-2の発現様式を検索中である。これら内因性リン酸化型Bcl-2の発現データを併せたのち論文化を企図している。また、ラット海馬初代培養系によるグルタミン酸レセプターを介する興奮性神経細胞死で、内因性カルシニューリンの活性化が誘導され、単一神経細胞へのカルシウムイメージング法応用により免疫抑制剤FK506の作用点がIP3Rを介するCa2+fluxの制御ではなく直接的にカルシニューリンの活性抑制にあることを証明した。(必要全データ収集済で論文作成中)さらに免疫系では末梢Bリンパ球クローン選択の場である胚中心にカルシニューリンが特異的に発現することを見出し、クローン選択のメカニズムの一端を解明する目的で、同部に複雑な様式で共発現するBcl-2分子群、転写因子群との相互反応を分子生物学的手法で解析中である。
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[Publications] 近藤英作,万波智彦,吉野正,赤木忠厚: "胚中心細胞におけるアポトーシス関連遺伝子の発現"日本リンパ網内系学会会誌. 39(3). 153-161 (1999)
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[Publications] 近藤英作,芝崎太: "Bcl-2によるアポトーシス制御機構の新たな展開"実験医学. 36(10). 1253-1258 (1998)
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[Publications] 近藤英作,松井秀樹,松尾良信,芝崎太: "カルシニューリン研究の新しい展開"日本臨床. 56(11). 233-241 (1998)
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[Publications] 近藤英作,赤木忠厚: "胚中心におけるBcl-2ファミリー遺伝子の発現とその意義"臨床免疫. (in press).