2001 Fiscal Year Annual Research Report
陽性荷電蛋白の腎尿細管基底膜への結合による過敏性間質性腎炎モデルの作製と解析
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10670217
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
金綱 友木子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40231261)
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Keywords | マウス尿細管上皮 / 間質性腎炎 / 卵白アルブミン / サイトカイン / 増殖因子 / 形質転換 / 免疫組織化学 / in situ hybridization |
Research Abstract |
平成13年度は、免疫組織化学ならびにin situ hybridization法を用いて、間質性腎炎の進展機構に関与する種々のサイトカイン、ケモカイン、増殖因子を解析した。まず、陽性荷電化ovalbumin(c-OA)を用い、Balb/cマウスの尿細管基底膜上にc-OAと家兎抗ovalbumin IgGから成るin situ型免疫複合体を形成させ,さらに、マウスを正常家兎血清にて前免疫する事により、尿細管間質性腎炎を誘導した。c-OA注入後、1日、4日、8日、16日、32日に屠殺し、摘出された腎の凍結切片上で標識された各種抗体を作用させた。c-OA注入後、4日目から間質内にMac-1(CD11b)、CD4,CD8a,Ly-6G陽性細胞の浸潤を認め、それと同時に、尿細管上皮にはMHC class2(I-A^d/I-E^d),transforming growth factor(TGF)-β1,heat shock protein(HSP)47分子の発現を見た。また、糸球体毛細血管係蹄ならびに尿細管周囲毛細血管の内皮細胞に,ICAM-1(CD54)が増強していた。Vimentinは4日目の早期には、間質細胞ならびに間質内の浸潤炎症細胞だけに陽性であったが、14日、32日目の後期には尿細管上皮に陽性を示した。TGF-β1、HSP47,platelet derived growth factor(PDGF)-A陽性細胞も早期から間質に浸潤していたが、必ずしもマクロファージ(Mac-1)陽性細胞とは一致しなかった。後期には、間質内細胞にαsmooth muscle actin,TGF-β1,HSP47の発現が増強した。E-selectin,P-selectinは毛細血管内皮に陽性であった。In situ hybridizationによる解析では、経時的に採取された腎の凍結切片材料を用いてmRNAの発現を検索したところ、早期の尿細管間質にIL-1β、TNFα,monocyte chemoattractant protein(MCP)-1,osteopontinの発現を見た。以上、早期の間質内炎症細胞浸潤が尿管上皮ならびに間質細胞の形質転換を誘導し、さらに形質転換した尿細管上皮ならびに間質細胞が間質線維化の準備状態を規定していることが分かった。
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[Publications] 城謙輔, 金綱友木子: "INF-γがマウス尿細管上皮細胞のMHC class II発現を誘導し、T細胞の活性化に関与する"日本腎臓学会誌. 43巻3号. 247 (2001)
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[Publications] Joh et al.: "A new histological scoring system in evaluating the effect of steroid therapy for the outcome of IgA nephropathy in adults"J Am Soc Nephrol. 12. 730-A (2001)
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[Publications] Kanetsuna Y et al: "Histological evaluation of renal allograft protocol biopsies at the ear period and one year after transplantation"Clin transplant. (印刷中). (2001)
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[Publications] 梅沢 敬, 春間節子, 金綱友木子: "子宮頚部すりガラス細胞癌の細胞学的特徴"日本臨床細胞学会雑誌. 40巻2号. 114-120 (2001)
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[Publications] 梅沢 敬, 春間節子, 金綱友木子: "子宮頚部,膣原発の明細胞腺癌6例の細胞学的検討"日本臨床細胞学会雑誌. 40巻5号. 439-444 (2001)