2000 Fiscal Year Annual Research Report
lpr-リンパ腫の研究:その発症機構及び正常リン節の形態形成・恒常性維持機構
Project/Area Number |
10670218
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
安水 良知 関西医科大学, 医学部, 助教授 (00142753)
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Keywords | lpr遺伝子 / MRL / lprマウス / lymphadenopathy / aly遺伝子 / ALYマウス |
Research Abstract |
MRL/lprマウスのリンパ節は、病理形態学的には悪性リンパ腫と区別し難いまでに腫大する。腫大リンパ節は、いわゆるlpr-T細胞で占められるが、それは非腫瘍性である。何故FAS遺伝子の機能を喪失すると悪性リンパ腫と見紛うまでのリンパ節腫大を来すのか?lpr-T細胞は一体どこからどのように発生し集積するのか?一方、ALYマウスは、常染色体性劣性の突然変異遺伝子により、リンパ節を完全に欠損する。一遺伝子の異常により、MRL/lprマウスではリンパ節が著明に腫大し、ALYマウスではリンパ節が欠損する。これらのマウスを詳細に観察する事により、リンパ節の形態形成と恒常性維持の機構を解明できることが期待される。 MRL/lprマウスの自然史の詳細な観察、ALYマウスの病態の観察、ALYマウスの骨髄移植やリンパ節移植による病態解析などを行ってきた。lpr-リンパ節腫の自然史は一般に考えられているより遥かに複雑でり、lpr-T細胞やlpr-リンパ節腫の発生や消長は時系列上にプログラムされた複雑な個体発生的細胞動態を反映した表現型であることが示唆された。このプログラムに含まれる遺伝子機能の欠損がALY病態を引き起すと考えられる。リンパ節移植や骨髄移植により、ALYマウスではリンパ節の基本構築の形成のごく初期に異常が存在すると考えられた。ALYマウスの異常遺伝子が同定され、LTノックアウトマウス等の新しいリンパ節欠損モデルも発見されてきたものの、本研究の成果と統合してもなおリンパ節の形態形成プログラムや、リンパ節を舞台とする複雑な個体発生的細胞動態を解きほぐすには至らない。
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[Publications] Yasumizu R, et al.: "Pathology of ALY mice : Congenital immunodeficiency with lymph node and Peyer's patch defect."Immunobiolgy. 202. 213-225 (2000)
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[Publications] Watanabe H, et al.: "Experimental autoimmune thyroiditis induced by thyro-globulin-pulsed dendritic cells."Autoimmunity. 31. 273-282 (1999)
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[Publications] Adachi Y, et al.: "An autopsy case of giant cell myocarditis probably due to a non-steroidal anti-inflammatory drug."Pathol Int. 51. 113-117 (2001)
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[Publications] Yasumizu R, et al.: "Identification of Thorotrast by gamma-spectrometry and simplified autoradiography in pathological specimens."Pathol Int. 49. 737-741 (1999)
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[Publications] Eujiyama A, et al.: "Multiple spontaneous small bowel perforations due to systemic cholesterol atheromatous embolism."Int Med. 38. 580-584 (1999)