1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670231
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
多田 功 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60064531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 広夫 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80117225)
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Keywords | ネズミ糞線虫 / ケモタキシス / 第3期幼虫 / アンフィッド / 温度走性 / 酵素阻害 |
Research Abstract |
寄生性の線虫のケモタキシスを検討するため、アガロースゲルプレート上にNaCl濃度勾配を設定し、ネズミ糞線虫Strongyloides ratti L3の行動を観察した.1)500mM以上の領域では、虫の動きが抑制された.2)80-500mMでは、80mM領域よりもさらに低い濃度領域へと逃避した.3)80mM以下では80mM付近までは高濃度方向へも移動するが、これを越えず、その後は同濃度以下の領域で引き返したり、進んだり大小のループ状運動をした.そこでこの直線的な逃避行動を阻害するような種々の酵素、レクチン、化学物質の処理を検討した.β-Glycosidase,β-Galactosidase,hyaluronidase,trypsin,lipase,protease,phospholipase,soybean agglutinin,wheat germ agglutinin,spermidine処理をすると虫の逃避行動は有意に阻害された. 次に同様な1.5%アガロースゲルプレート上に、温度勾配を設定し、その上で、種々の糖分解酵素処理を施したL3を放し、温度走性への影響を検討した。その結果、hyaluronidase,またはβ-glucuronidaseで処理した虫の温度に対する感受性が失われた.生きたラット、マウスの皮膚へのL3侵入性と体内移行にhyaluronidase処理がどのような影響を及ぼすかを検討したが、皮膚侵入性、体内移行状況において、対照と比較し有意な差は認められなかった. これらの実験結果から、体外でのS.ratti感染期幼虫の温度や化学物質に対する情報の受容器であるアンフィドの働きに、ヒアルロン酸由来のムコ多糖物質が強く関与する可能性が示された。
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