1999 Fiscal Year Annual Research Report
無人島におけるヒトスジシマカの定着・存続に関する研究
Project/Area Number |
10670234
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60024684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 章 名古屋女子大学, 短期大学部, 教授 (30196761)
都野 展子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (60295102)
津田 良夫 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (20207393)
沢辺 京子 産業医科大学, 助手 (10215923)
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Keywords | ヒトスジシマカ / 無人島 / 遺伝的変異 / 個体群パラメター |
Research Abstract |
昨年度と同様に長崎市飯盛町下釜海岸沖約500mに位置する無人島(前島)とその対岸の集落を調査地として選んだ。昨年度確立したヒトスジシマカ個体群の調査方法にしたがって、定期調査を実施した。調査はヒトスジシマカ成虫が採集された5月から12月までの期間、原則として2週間おきに実施した。標準的調査方法として、(1)人囮採集による成虫密度の推定、(2)採集された雌成虫の解剖による経産雌率の推定、(3)実験室内での飼育による寿命調査の3方法を採用した。9月末以降に採集された成虫は寿命調査の際に吸血させ、産卵数の調査も同時に行った。また、2調査地それぞれに温湿度の自動記録計を各2個設置し気象条件の記録を行った。 ヒトスジシマカ成虫の密度は5月から7月にかけて徐々に増加し7〜8月に最高値に達しその後減少して11月末〜12月にゼロとなるという、昨年と基本的に同様のパターンが観察された。無人島と対岸の密度の差は顕著ではなかった。対岸の集落では昨年同様8月中旬に蚊の防除のために殺虫剤の散布が行われたため、密度が急減した。前島と対岸の個体群の経産雌率は、5月から9月まで約60〜70%の値を推移した。室内条件下での平均寿命は、シーズン初期(5月)に約14日、7〜8月に最長約20日となり、9月初めに約15日であった。9月末以降に採集された成虫は、毎週1回マウスより吸血させて、寿命と産卵数を調査した。季節の経過とともに吸血させた雌の平均寿命は短くなり、平均産卵数も減少した。室内飼育で得られた卵から孵化した幼虫を用いて、アイソザイム分折を実施中である。
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