1999 Fiscal Year Annual Research Report
Entamoeba disparの組織内増殖能力と病原性との関連
Project/Area Number |
10670237
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70112688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川又 健 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80051530)
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Keywords | Entamoeba dispar / 無菌培養 / 組織内増殖能力 / 病原性 |
Research Abstract |
平成11年度は、我々が考案したYIGADHA-Sをさらに多くのE.dispar株の無菌培養に応用できるよう特に培養に有用な増殖因子について検討した。その結果、YIGADHA-Sを用いてE.disparを培養すると増殖促進効果のある緑膿菌やC.fasciculataをオートクレーブ(121℃,15分)した後でもその効果が失われないことがわかり、さらにミトコンドリアをもつ哺乳類の細胞や原虫、ミトコンドリアに類似のヒドロゲノゾームをもつ原虫(膣トリコモナス等)そしてミトコンドリアと葉緑体をもつ植物の葉肉細胞を同様にオートクレープしたものでも増殖促進効果をもつことを見いだした。これに対しこれらのオルガネラをもたない原虫(赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫等)、赤血球などの細胞には増殖促進効果はみられないことがわかった。そこでこれらのオルゲネラのなかにE.disparの増殖に重要で細菌にも共通する成分としてフェレドキシンを推定した。実際、精製されたホウレンソウのフェレドキシンにE.disparの増殖促進効果も認めている。しかしながらフェレドキシン自体は易熱性の蛋白であるため増殖促進物質の本体はフェレドキシンの合成に必要な熱に安定な鉄・硫黄中心のような物質ではないかと現在考えれいる。これらの結果をもとにE.disparの無菌培養のため、葉を破砕した後も細胞が壊れにくい露草、桜、葛などの葉肉細胞から、より安価で簡便なフェレドキシンの粗抽出方法を考案した。YIGADHA-Sに上記のフェレドキシンの粗抽出液を加えることで、無菌培養が困難であった4株のE.disparの安定した無菌培養が可能となった。 E.disparの病原性についての実験:E.disparの最適な寄生部位はヒトや霊長類の大腸の腸管膣内であるが、現在まで実験小動物に関してはE.disparの腸管感染モデルは報告されていない。我々はrag遺伝子をノックアウトした免疫不全のBALB/c(rag-/-)マウスの盲腸に細菌共棲株ではあるがE.disparを接種し、短期間(3日間)ながら感染させることに成功した。現在このin vivoの系を用いてE.disparの組織侵入性について検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] YASUSHI MIYAHIRA: "Induction of CD8+T cell-mediated protective immunity aginst Trypanosoma cryi"International.Immunol.. 11(2). 133-141 (1999)
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[Publications] ASAO MAKIOKA: "DNA polymerase activity in encysting Entamoeba invadens"Parasitol.Res.. 85. 604-606 (1999)
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[Publications] TOMOYOSHI NOZAKI: "Characterization of the gene encoding serine acety transferase,a regulated enzyme of cycteine biosynthesis from the protist parasites Entamoeba histolytica and Entamoeba dispar"J.Biol.Chemist.. 274(45). 32445-32452 (1999)
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[Publications] ASAO MAKIOKA: "Appearance of a staze-specific immunodominant glycoprotein in encysting Entamoeba invadens"Parasitol.Res.. 86. 81-85 (2000)
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[Publications] ASAO MAKIOKA: "Effect of dinitroaniline herbcides on the growth of Entamoeba histolytica"J.Parasitol.. (in press). (2000)
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[Publications] ASAO MAKIOKA: "Effest of cytochalosin D on the growth,encystation and multinucleation of Entamoeba invadens"Parasitol.Res.. (in press). (2000)