2000 Fiscal Year Annual Research Report
疾病媒介蚊アセチルコリンエステラーゼの殺虫剤非感受性の遺伝学的生化学的解析
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10670246
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)
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Keywords | アセチルコリンエステラーゼ / コガタアカイエカ / 殺虫剤抵抗性 / 有機りん剤 / 連鎖群解析 |
Research Abstract |
コガタアカイエカ(C.t.)の有機りん剤抵抗性Toyama系統では,同薬剤の作用点であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)のfenitroxonに対する感受性が対照の感受性系統に比べ約1/1000に低下し非感受性となっている。前年度までの研究では抵抗性系統に特異的なAChEタンパク質一次構造変異が見出されなかった。また,AChEの非感受性遺伝子(AChE-R)と構造遺伝子座(Ace)の同一性について連鎖群解析を行った結果,C.t.Ace cDNAプローブをhigh stringencyでハイブリダイズしたRFLP解析ではAceは第1染色体上のTY7遺伝子座の1.3cM近傍に,酵素阻害実験により求めたAChE-Rは第2染色体上の[LF106-14.8cM-AChE-R-24.6cM-LF115]の位置に,それぞれ単一の主働遺伝子としてマップされた。今年度は既知のAce遺伝子にparalogousな関係にある第2のAce遺伝子座が存在する可能性をさらに追求した。同じサザンブロットを,C.t.Ace cDNAプローブとネッタイシマカAce cDNAプローブをそれぞれリプロービングして用い,low stringencyでハイブリダイズさせた。新たに出現したRFLPフラグメントで由来系統の識別できるものは,先に決定した第2染色体上のAChE-Rの座位とは一致しなかった。AChEの殺虫剤非感受性は既知のAChE構造遺伝子座に由来しないことが再び確認された。非感受性をもたらす要因としては,翻訳後修飾に関わる酵素遺伝子の発現量または機能に関わる突然変異がもっとも容易に考えうる。この仮説を支持する他の根拠として次の2点があげられる。(i)キイロショウジョウバエではゲノム内にAce遺伝子座は1つしか存在せず,かつAChE配列が既知の7つの双翅目昆虫では,Ace遺伝子が形態分類学から推定される系統樹と一致してorthologousな進化を遂げている。(ii)本種の抵抗性と感受性系統のそれぞれには一種の酵素kineticsしか認められない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Mori A,Tomita T, Hidoh O,Kono Y,Severson DW: "Comparative linkage map development and identification of an autosomal locus for insensitive acetyl cholinesterase-mediated insecticide resistance in culex tritaeniorhyncus."Insect Molecular Biology. 10(2)(in press). (2001)