1998 Fiscal Year Annual Research Report
尿路病原性大腸菌感染症における病原因子とその菌間伝達機構の解明
Project/Area Number |
10670249
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
倉園 久生 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90186487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 章人 京都大学, 医学部, 助手 (50243019)
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Keywords | 尿路病原性 / 大腸菌 / 病原因子 / Zonula Occludens |
Research Abstract |
ZOTはコレラ菌のVirulence coreの構成要素で、腸管細胞のtight junctionの1つであるZonula Occludensを可逆的に開裂する。さらに、WaldorとMekalanosは、ZOTが非病原性コレラ菌にVirulence coreを持ち込むfilamlentous phageの形成を一部担っていることを報告している。 このZOTに特異的なDNAプローブを使って尿路病原性大腸菌をSouthern hybridzation testて調べたところ、low strengencyで前立腺炎患者由来の菌株が強く反応した。この陽性菌株から調整したZOT様蛋白をcodeする遺伝子断片の一部(zot-likeprobe)を使ってSouthernhybridization testをしたところ、由来を問わず多くの尿路病原性大腸菌にZOT様遺伝子が存在していた。ZOT様蛋白がZOTと類似した性状を持つならば、尿路系感染での細胞間隙からの侵入や病原因子の非病原菌への移行による病原菌の増加が可能になる。 前立腺炎患者から分離した大腸菌P42株のwhole cell DNAを常法により調製し、種々の制限酵素によりこれを切断してzot-like probeによるSouthern hybridization testでZOT様遺伝子の検出を行った。7.0kbのBamHI断片上及びClaI断片上にZOT様遺伝子を確認できたので、この断片をpMW118のBamHI部位に挿入した。サンガー法によりこのZOT様遺伝子の一次構造を決定したところ、その大きさは1,041bpであった。 尿路病原性大腸菌にはZOT様物質をcodeする遺伝子が高頻度に分布していた。このこのZOT様遺伝子は尿路病原性大腸菌によく見られる一群の病原因子とはhomologyがなく、また既報のいかなる塩基あるいはアミノ酸配列ともhomologyを示さなかった。このZOT様蛋白が尿路病原性大腸菌に広く分布していることは、ZOT様蛋白が尿路病原性に深く関与している事を示唆している。
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