1999 Fiscal Year Annual Research Report
腸管病原性大腸菌の新規病原因子の同定と感染における役割の研究
Project/Area Number |
10670250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸辺 亨 東京大学, 医科学研究所, 講師 (70207596)
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Keywords | 病原性大腸菌 / 病原性プラスミド / 病原因子 / プラスミド複製 / 挿入配列 / 染色体病原性領域 |
Research Abstract |
EPEC(腸管病原性大腸菌)の細胞付着因子およびその転写制御因子は、EPECが保有するプラスミドDNA(EAFプラスミド)にコードされている。EAFプラスミドは血清型の異なるEPEC間でも共通に見いだされ、EPECの病原性発現には必須であると考えられている。いずれのプラスミドも大きさは60-80kbであることが知られているが、上記の付着因子(Bundle-forming pili:BFP)と転写制御因子(bfpTVW)をコードする遺伝子領域以外は不明であった。そこで未知の病原性関連遺伝子の検索を行うためEPEC B171(O111:NM)株の保有するEAFプラスミドpB1.71の全塩基配列を決定した。その結果、pB171は69917塩基対よりなり、80個のORF(Open Reading Frame)が含まれていることが明らかとなった。それらのORFのなかには、病原性因子をコードすると思われるもの、プラスミドの複製維持に関与するもの、挿入配列由来のものなどが見いだされた。病原性に関与すると予想されるものには、腸管出血性大腸菌O157:H7の保有するプラスミドに見いだされたtoxB遺伝子と高い相同性を示すもの、EPEC染色体上のLIM病原性領域に前年見いだした病原性因子特異的シャペロンをコードする遺伝子trcAと相同性を示すものがあった。RepFIIAとRepFIBに相同性を持つ2種類の異なる複製領域が見いだされ、さらにF因子の持つプラスミド安定分配機構と類似の機構を持つと思われる領域が見いだされた。プラスミドには全体にわたって完全長あるいは部分長の挿入配列がみられEAFプラスミドが様々な段階を経て形成されてきたことが示唆された。 一方で、腸管出血性大腸菌O157:H7の染色体上に見いだされた病原性関連領域と推定される配列がEPEC染色体上にも存在していること、さらに多くの病原性大腸菌に保存されていることを見いだした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tobe, T., et al.: "Complete DNA sequence and structural analysis of the enteropathogenic Excherichia coli adherence factor plasmid"Infect Immun. 67(10). 5455-5462 (1999)
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[Publications] Tobe, T., et al.: "A novel chromosomal locus of enteropathogenic Escherichia coli(EPEC), with encodes a bfpT-regulated chaperon-like protein, TrcA, involved in microcolony formation by EPEC"Molecular Microbiology. 33(4). 741-752 (1999)