1999 Fiscal Year Annual Research Report
病原ビブリオの金属プロテアーゼが惹起する出血性皮膚障害
Project/Area Number |
10670258
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
友近 健一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (00093691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 純男 岡山大学, 薬学部, 教授 (50029782)
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Keywords | 金属プロテアーゼ / 出血 / Vibrio vulnificus / IV型コラーゲン / 皮膚 / 組織病変 |
Research Abstract |
研究代表者らはVibrio vulnificusの病原因子に関して研究を行い、本菌感染症の特徴である出血性皮膚病変の発現に分泌性の金属プロテアーゼ(VVP)が深く係っていることを明らかにした。VVPの皮下注入により,皮膚の浮腫と出血が観察される。浮腫はVVPがハーゲマン因子やプレカリクレインを活性化に引き起こされるカリクレインーキニン系の活性化に基づく血管透過性亢進により,出血は毛細血管周囲の基底膜がVVPの作用により破壊されて惹起させる可能性が明らかになった。しかし、基底膜の破壊から出血に至る過程については、未だ不明な点が多い。本研究では、再構成基底膜を用いたモデル実験、光顕組織観察および電子顕微鏡観察等により、出血反応の際にVVPの標的となっている基底膜タンパク質を明らかにすることを目指した。また、毛細血管を構成する血管内皮細胞等に対するVVPの作用についても合わせて検討をくわえた。その結果,基底膜モデル実験系でVVPは血管内皮細胞基底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲン特異的に分解することを明らかにした。組織化学的および免疫組織化学的検討から,VVPの出血作用は真皮下層部および皮下組織にかけて出血が観察された。出血は毛細血管の破壊により引き起こされ,皮下組織とくに脂肪細胞間に広かっていた。免疫組織化学的検討から,IV型コラーゲンやラミニン等の血管内皮細胞基底膜を構成するタンパク質が真皮下層部および皮下組織間にかけて広く拡散しており,VVPの作用が広範な領域に起こっていることが明らかになった。しかし,これら組織において著しいうっ血や動脈の壊死的障害も観察され,VVPに他の作用の存在する可能性も明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Miyoshi, S.: "The hemagglutinating action of Vibrio vulnificus metalloprotease"Microbiol. Immunol.. 43. 79-82 (1999)
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[Publications] Miyoshi, S.: "Functional domains of a zinc metalloprotease from Vibrio vulnificus"FEMS Microbiol. Lett.. 172. 73-77 (1999)
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[Publications] Miyoshi, S.: "Characterization of the hemorrhagic reaction caused by Vibrio vulnificus metalloprotease, a member of the thermolysin family"Infect. Immun.. 66. 4851-4855 (1998)