1998 Fiscal Year Annual Research Report
コレラ菌プロテアーゼのコレラ感染及び組織内侵入機構に果たす役割に関する研究
Project/Area Number |
10670262
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
一瀬 休生 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (70176296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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Keywords | Vibrio cholerae / metalloprotease / invasive factor |
Research Abstract |
コレラ菌が産生するコレラプロテアーゼはそれ自体腸管毒性は示すことはないが、コレラにおいては病態の増悪因子として機能していることが想定されている。コレラ感染に本プロテアーゼがどのように関与するのかについて研究を行っている。 コレラ菌のプロテアーゼ産生性と臨床症状との関連について分析を行うために、コレラ下痢便中のプロテアーゼの測定あるいはコレラ患者の血中プロテアーゼ抗体の測定は必須な条件である。また組織破壊をひきおこす溶血素はプロテアーゼとともに組織内侵入に関与することが想定されるが、これらの諸因子の組織内侵入に関する実験には比較的大量のプロテアーゼが必要となる。このため高純度かつ大量のコレラプロテアーゼの精製を目標として精製法の改良を行ってきた。その結果、従来から報告してきたA5M gel,TSK gelを用いた精製法に培養時間延長あるいはDEAE Sephacl,Sephadex G75 SFによる精製プロセス等の改良を加えることで約3倍程度の収量が増加することがわかった。さらに本プロテアーゼの性状でまだ明らかでない基質 特異性についても、毒素原性大腸菌が産生する易熱性毒素の変異毒素あるいは易熱性毒素とコレラ毒素とのキメラ毒素を用いた実験を行い、酵素学的な分析を行ってきた。これらの結果については現在論文投稿中である。コレラプロテアーゼの測定法は、多抗原合成ペプチドからえられた抗体を用いて特異性の高いELISAの系の開発を試みたが、まだ完成に至っていない。コレラ患者の下痢便のコレラプロテアーゼの定量と同時に患者血清中の抗プロテアーゼIgM抗体の測定をを行ない、プロテアーゼ産生量と臨床症状との関連、特にキニンと腹痛との関連について分析する予定である。さらにコレラの敗血症モデルおよびコレラプロテアーゼおよび溶血素遺伝子を欠失させたコレラ菌の相同組換体を作製を行い、コレラ感染時の菌の組織内侵入におけるコレラプロテアーゼの役割に関する研究を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)