2000 Fiscal Year Annual Research Report
コレラ毒素Bサブユニットをアジュバントとした粘膜ワクチンの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
10670266
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杤久保 邦夫 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (30079991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (90285198)
小塚 諭 中京女子大学, 健康科学部, 助教授 (40117817)
安田 陽子 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (70080009)
後藤 紀久 国立感染症研究所, 安全性研究部, 室長 (10100108)
谷口 暢 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00285199)
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Keywords | 組換えコレラ毒素Bサブユニット / 粘膜アジュバント / 経鼻投与 / 粘膜ワクチン / 線毛性定着因子抗原 |
Research Abstract |
現行の注射器による皮下(筋肉内)接種ワクチンを、経鼻投与に切り換えることができるか否かについて、ブレビス菌-ベクター系を使って作製した無毒の組換えコレラ毒素Bサブユニット(rCTB)を粘膜アジュバントとして使用し、基礎的な研究を行っている。10、11昨年度は、rCTBが破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、百日咳成分ワクチン、B型肝炎ワクチンに対して粘膜アジュバント活性を示すことを報告した。今年度は、ヒト由来毒素原性大腸菌(ETEC)が産生する線毛性定着因子抗原(CFA/III)に対するrCTBの粘膜アジュバント活性を調べた。rCTB10μgとともに精製CFA/IIIを5または20μg、BALB/cマウスに4回経鼻投与した。初回免疫後35日目の抗CFA/III抗体価をELISA法により測定した結果、rCTBの有無に拘らず、全身免疫応答(血清IgG、IgA)と唾液、鼻腔、肺、小腸、腟、糞便で粘膜免疫応答(粘膜IgA)が誘導された。全てのマウス血清と高い抗体価を示した一部の小腸洗浄液が、ETEC31-10株の凝集活性を示した。これらの事実から、CFA/IIIはrCTB非存在下でも鼻粘膜上皮より取り込まれやすいこと、およびETEC感染症の予防にCFAが経鼻ワクチンとして利用できる可能性のあることが示唆された。 液状破傷風トキソイド(TT)と液状ジフテリアトキソイド(DT)をそれぞれrCTBとともに、10回連続または5回連続-間隔-5回連続経鼻接種して、粘膜面や血中に産生された抗CTB抗体の、頻回反復投与した同一抗原や時期をずらして投与した異種抗原に対する免疫応答への影響について、BALB/cマウスを使って検討した。抗TT-、抗DT-、抗CTB-血清IgG抗体価と糞便IgA抗体価をELISA法により測定した。TT+rCTBまたはDT+rCTBの連続10回接種では、血清および糞便抗体応答はともに抑制がみられず、粘膜トレランスは観察されなかった。TT+rCTB 5回連続接種-間隔-DT+rCTB 5回連続接種(またはその逆)の場合、異なる抗原の接種間隔が短い時(1週間)は、後から接種した抗原に対する血清抗体応答にやや抑制傾向がみられたが、接種間隔が長期(22週間)の場合にはほとんど影響がみられなかった。最終免疫後に解剖して得た各粘膜局所の抗体応答については、接種間隔の長短による影響はなかった。これらの結果より、rCTBアジュバント含有経鼻ワクチンは、接種間隔をあけることで効果的に複数のワクチンに応用可能であると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kozuka S,Yasuda Y,Isaka M,Masaki N,Taniguchi T,Matano K,Moriyama A,Ohkuma K,Goto N,Udaka S and Tochikubo K: "Efficient extracellular production of recombinant Escherichia coli heat-labile enterotoxin B subunit by using the expression/secretion system of Bacillus brevis and its mucosal immuno-adjuvanticity"Vaccine. Vol.18,No.17. 1730-1737 (2000)
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[Publications] Goto N,Maeyama J,Yasuda Y,Isaka M,Matano K,Kozuka S,Taniguchi T,Miura Y,Ohkuma K and Tochikubo K: "Safety evaluation of recombinant cholera toxin B subunit produced by Bacillus brevis as a mucosal adjuvant"Vaccine. Vol.18,No.20. 2164-2171 (2000)
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[Publications] 安田陽子: "粘膜ワクチンの開発に向けて一組換えコレラ毒素Bサブユニットをアジュバントとした経鼻ワクチン(総説)"名古屋市立大学医学会雑誌. Vol.51,No.3. 99-109 (2000)
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[Publications] Isaka M,Yasuda Y,Mizokami M,Kozuka S,Taniguchi T,Matano K,Maeyama J,Mizuno K,Morokuma K,Ohkuma K,Goto N and Tochikubo K: "Mucosal immunization against hepatitis B virus by intranasal co-administration of recombinant hepatitis B surface antigen and recombinant cholera toxin B subunit as an adjuvant"Vaccine. Vol.19,No.11/12. 1460-1466 (2001)