1998 Fiscal Year Annual Research Report
ブタコレラ菌感染血管内皮細胞による局所炎症反応の作用機序
Project/Area Number |
10670269
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岡田 信彦 北里大学, 薬学部, 助教授 (80194364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 雄士 北里研究所, 室長 (60262078)
壇原 宏文 北里大学, 薬学部, 教授 (40114558)
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Keywords | サルモネラ感染症 / サイトカイン / 細胞侵入性 / ビルレンス因子 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
ブタコレラ菌(Salmonella chorelaesuis serovar Choleraesuis)の細胞侵入による血管内皮細胞の宿主応答を明らかにし、引き続き起こる局所炎症反応についての分子メカニズムを明確化することを目的とし、次のことを行った。まず、ブタコレラ菌の血管内皮細胞への細胞侵入能について、ブタコレラ菌野生株(RF-1)およびその細胞侵入能変異株(invA変異株)を用いて、血管内皮細胞(HUVEC細胞)および上皮細胞(HEp-2細胞)に対する細胞侵入性および細胞内増殖性についてそれぞれ細胞侵入試験により定量化した。RF-1株はHEp-2細胞およびHUVEC細胞の両細胞に対して同様の細胞侵入性を示したのに対して、invA変異株はHEp-2細胞およびHUVEC細胞への細胞侵入能は野生株に比べ明らかに減少していた。しかし、両細胞においてinvA変異株の細胞侵入率に違いがみられ、HEp-2細胞では野生株の1%以下、HUVEC細胞では野生株の30%程度であった。また、RF-1株のHUVEC細胞における細胞内増殖性については、感染後1、2、4、6および8時間の細胞内生菌数を測定し、感染後8時間まででは細胞内での菌の増殖は観察されなかった。さらに、ブタコレラ菌によるHUVEC細胞への侵入にHEp-2細胞同様、宿主細胞のアクチン凝集が必要であることをサイトカラシンを用いた細胞侵入阻害実験により明らかにした。次に、ブタコレラ菌の血管内皮細胞への侵入に伴う炎症性サイトカインの産生について、スタンダードRNAを用いたRT-PCR法によるサイトカインmRNA定量法を用いて、RF-1株からの炎症性サイトカインのmRNA(IL-1α,IL-1β,IL-6,IL-8およびTNF-α)を定量観察することを試み、現在その解析を進めている。
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