1999 Fiscal Year Annual Research Report
電子分光顕微鏡を用いた孔形成細胞溶解毒素による生体膜傷害機構の超微細形態的解析
Project/Area Number |
10670270
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Research Institution | Kitasato university |
Principal Investigator |
関矢 加智子 北里大学, 薬学部, 講師 (30050579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二重作 豊 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50014197)
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Keywords | 孔形成細胞溶解毒素 / 電子分光顕微鏡 / 生体膜傷害機構 / 超微形態 / ネガティブ染色 / リポソーム / 溶血機構 / ストレプトリジンO |
Research Abstract |
当該研究は、細菌が産生する孔形成細胞溶解毒素による生体膜傷害機構を電子分光顕微鏡を用いて、超微細形態的に解析することを目的としている。 1.電子分光顕微鏡を用いて量子ノイズを軽減し、従来のフィルムにかえてイメージングプレートで撮影することにより、照射電流を1/100以下にでき、電子線に弱い本研究目的試料の高分解能観察に非常に有用であった。 2.孔形成細胞溶解毒素としては、代表的な溶血レンサ球菌が産生する溶血毒素であるストレプトリジンO(SLO)を中心に解析した。また、これらの毒素によって形成される孔を伴ったリングは、二重のリング構造として観察され、この二重の内外の構成分子の異同の究明も課題の一つであった。ボツリヌス菌が産生するボツリノリジンにおいても、電等点の異なる2種が存在するSLO作用時と同様に、二重リングであるとの結果が得られ、内外同一分子である可能性が高いとの結論を得た。 3.SLOで得られた電子分光顕微鏡観察結果を元に、広範な生物試料観察への応用として、人毛やフェリチン粒子、硬組織などの観察も試み、成果を得た。さらに、一酸化ケイ素(SiO)からの炭素を含まない支持膜の作成に成功し、この膜で大腸菌の凍結超薄切片を載せ、その全体像を捕えることができた。その粒状性は、蛋白分子の観察に支障が無い程度に細かいもので、本実験のような蛋白分子の観察にも応用できる可能性が得られた。 4.これらの毒素の生体膜傷害機構へのコレステロールの役割を明確にするために、合成フォスファチジルコリンで作製したリポソームで、新たな手法として膜クランプ法を導入して解析を行い、今後に発展させ得る可能性ある結果を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 関矢加智子: "電顕で見る分子の会合-細菌毒素による溶血機構の解析-"電子顕微鏡. 33・1. 33-38 (1998)
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[Publications] Kachiko Sekiya: "Formation of ring-shaped structures on erythrocyte membranes after treatment with botulinolysin, a thiol-activated hemolysin from Clostridium botulinum."Infect. Immun.. 66・6. 2987-2990 (1998)
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[Publications] Kachiko Sekiya: "Review: Characterization of the damage to membranes caused by bacterial cytolysins."J. Electron Microsc.. 47・6. 543-552 (1998)
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[Publications] Yutaka Futaesaku: "Principles of electron spectroscopic imaging(ESI) in hard tissue biology."J. Hard Tissue Biol.. 7・1. 1-10 (1998)
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[Publications] Yutaka Futaesaku: "Biological meaning of electron spectrospic imaging(ESI) and application for net carbon mapping. Recent development of electron microscopy."Proc. IXth Chinese-Japanese Electron Microsc.. 105-110 (1998)
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[Publications] Kachido Sekiya: "Formation of ring shaped structures on erythrocyte membranes upon treatment with botulenolysin, a thiol-activated hemolysin from Clostridium botulinum."Electron Microscopy ICEM 14 Symposium SS. IV. 755-756 (1998)