1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670275
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (40164462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (90170315)
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Keywords | ホスフォリパーゼC / C-domain / キメラ酵素 / ウェルシュ菌 / セレウス菌 / α毒素 |
Research Abstract |
ウェルシュ菌のα毒素は、ガス壊疽の原因毒素で、致死、壊死、溶血、ホスフォリパーゼC(PLC)などの種々の活性を有している。本毒素は、250残基のN-domainと120残基のC-domainからなり、N-domainは、酵素活性に、C-domainは、毒素の結合に関与すると考えられている。我々は、α毒素の構造と機能の関係を明らかにするため以下の検討を行った。α毒素のN-domainの遺伝子とC-domainの遺伝子、セレウス菌PLC(BCPLC)の遺伝子を作製した。さらに、BCPLC遺伝子にC-domainの遺伝子を連結した。これらは、大腸菌で発現させ精製を行った。α毒素のN-domainは、wild-typeと比較して、約1/100のPLC活性を示し、溶血活性は、示さなかった。これに対し、C-domainは、いずれの活性も示さなかった。一方、α毒素のN-domainとC-domainを混和して作用を調べると、N-domainのPLC活性が増強されること、さらに、赤血球に作用させると、溶血が認められた。BCPLCは、PLC活性を有するが、溶血作用は示さない。BCPLCにC-domainを連結したキメラ酵素は、弱いながら溶血活性を示すことが判明した。以上の結果から、α毒素のN-domainは、酵素活性を有していることから、本毒素の酵素触媒部位が存在すると考えられるが、その活性はかなり弱く、さらに、C-domainの添加でPLC活性が上昇することから、本毒素のPLC活性発現に、C-domainは、何らかの影響を与えていることが判明した。α毒素の溶血活性は、N-domainとC-domainを同時に作用させた場合やBCPLCにC-domainを連結したキメラ酵素が溶血作用を示すことから、C-domainが、赤血球膜表面に結合し、N-domainのPLC活性により、膜表面のリン脂質が分解を受け、溶血すると考えれる。
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Research Products
(1 results)