1998 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌耐熱性下痢原因毒素IIの受容体およびメディエーターに関する研究
Project/Area Number |
10670276
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
藤井 儀夫 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (60122587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 敬の介 , 教授 (70131183)
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Keywords | 下痢毒素 / 大腸菌 / 溶血毒素 |
Research Abstract |
大腸菌耐熱性下痢原因毒素II(STII)の下痢発現機構を解明するため種々検討し、下記の事が明らかとなった。 1. STIIはマウス腸管上皮細胞のリン脂質代謝を亢進し、プロスタグランジンE_2の産生を促進する。 2. 3TIIはマウス腸管上皮細胞のカルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)を活性化する。 3. STIIの下痢は、プロスタグランジン合成阻害剤であるインドメタシン処理で阻害される。 4. STIIの下痢は、CaMKIIの特異的阻害剤であるKN-93処理で阻害される。 以上の結果から、STIIの下痢発現にプロスタグランジンE_2およぴCaMKIIが重要であることが判明した。 最近、外国渡航者の下痢原因菌として注目されているAeromonassobriaが産生する溶血毒素の精製に成功した。この溶血毒素は、赤血球を溶血させる溶血活性の他に、下痢活性をも有する特異な毒素である。本毒素はマウス腸管上皮細胞のプロスタグランジンE_2の産生を促進すること、そして、本毒素の下痢活性はプロスタグランジン合成阻害剤であるインドメタシン処理で阻害されることが明らかとなった。STIIの下痢発現にプロスタグランジンE_2が重要であることから、溶血毒素の下痢発現機構を解明することは、STIIの下痢発現機構の解明に大きく貢献すると考える。現在、溶血毒素の下痢発現機構を詳細に検討し、STIIのそれと比較検討している。
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[Publications] Yoshio Fujii: "Purification and characterization of enterotoxin produced by Aeromonas sobria" Microbiology and Immunology. 42(10). 703-714 (1998)
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[Publications] Hiroyasu Yamanaka: "Need for tolC,an Escherichia coli outer membrane protein,in the secretion of heat-stable enterotoxin I across the outer membrane" Microbial Pathogenesis. 25. 111-120 (1998)
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[Publications] Keinosuke Okamoto: "Contribution of the disulfide bond of the A subunit to the action of Escherichia coli heat-labile enterotoxin" Journal of Bacteriology. 180(6). 1368-1374 (1998)