1998 Fiscal Year Annual Research Report
ロタウイルスNSP4タンパクのエンテロトキシン活性の解明
Project/Area Number |
10670278
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
堀江 泰夫 秋田大学, 医学部, 助手 (30282164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今川 忠 阪大微研会, 研究開発部, 部長(研究職) (10036478)
望月 雅美 共立商事, 研究開発本部, 部長(研究職)
中込 治 秋田大学, 医学部, 教授 (70143047)
中込 とよ子 秋田大学, 医学部, 助手 (40155693)
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Keywords | ロタウイルス / ウイルス性下痢症 / 非構造タンパク / NSP4 / エンテロトキシン / マウスモデル |
Research Abstract |
A群ロタウイルスの非構造タンパクの一つであるNSP4にエンテロトキシンとしての活性があることがマウスを使った実験系で報告されて以来注目を集めている。しかし、実験に使用したNSP4の由来はサルロタウイルスSA11株あるいはブタロタウイルスOSU株に由来するものである。われわれは先にロタウィルスの宿主の種とは無関係にNSP4には3つの対立遺伝子群が存在することを報告した。この分類によれば、SA11はKUN対立遺伝子群に、また、OSUはWa対立遺伝子群に属する。そこでマウス本来のロタウイルスであるEW株のNSP4が3つの対立遺伝子群のいずれに属するのかをみるために、EW-NSP4をクローニングし、その塩基配列を決定した。この結果、EW-NSP4はすでに知られている3つの対立遺伝子群のいずれとも異なる第4の対立遺伝子群に属することがわかった。そこでEW-NSP4を大腸菌で発現させ、マウスを用いた実験系でエンテロトキシン活性の有無を調べようとしたが、full-lengthのNSP4は大腸菌で発現させることができなかった。EW-NSP4の一次構造は他の3つの対立遺伝子群に属するNSP4のいずれとも60%台のホモロジーしか示さないが、Kyte and Doolittleのアルゴリズムによる疎水性プロフィールを作成してみると、アミノ末端側に3つの疎水性ドメインがあり、カルボキシ末端側の84-175残基に相当する部分をGSTとの融合タンパクの形で、大腸菌で発現させることを試みた。このGST一NSP4(84-175)はSDS-PAGE上で37kDaのバンドとして確認することができた。この融合タンパクは大部分が不溶性であり、可溶性分画への回収は1%程度であったが、11の大腸菌培養液から約5mgの融合タンパクを回収することに成功した。
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