1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10670290
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
綾田 稔 大阪市立大学, 医学部, 助手 (90222702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒瀬 勝啓 北里研究所, 生物製剤研究所・開発研究部門, 主任研究員 (80215384)
小倉 壽 大阪市立大学, 医学部, 教授 (10115222)
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Keywords | 亜急性硬化性全脳炎 / SSPEウイルス / 塩基配列 / 変異 / 転写 |
Research Abstract |
私たちは、SSPEウイルスの神経病原性に関与するウイルス側の因子を明らかにするために遺伝子解析を行っている。その一端として、SSPEウイルス大阪1株、2株、3株について、P遺伝子とM遺伝子の境界領域(P-M領域)をRT-PCR法により増幅し、その塩基配列を決定した。その結果、P-M領域でread-throughが生じる株には変異が認められること、即ち、P遺伝子の末端がUUUUUU(ゲノムセンス)であるべきところが、1塩基少ないUUUUU、あるいはUUUCUUに変化していることが明らかになった。これらの変異が実際にP遺伝子の転写終結、M遺伝子の転写開始に重要な変異であることを直接証明するため、麻疹ウイルスゲノムのリーダーおよびトレイラー配列を持ち、2種のレポーター遺伝子間に標準型および変異型のP-M領域を挿入したミニゲノムプラスミドを構築した。予備的なミニゲノムの発現実験で、確かにこれらの変異がP-M領域でのread-throughに関与していることが示された。さらにSSPEウイルス山形1株の同領域にも多様性があり、P-M領域でread-throughが生じるロットではP遺伝子の末端の塩基配列がGUUUUUUであるのに対して、read-throughが生じないロットではUUUUUUUであることが明らかになった。この新たなタイプの変異の影響についてもミニゲノムの発現系を利用して証明する予定である。現在上述のプラスミドに一部改良を加えて、ノーザンブロット解析を併用した実験を計画している。 また、SSPEウイルス大阪1株、2株、3株の各種sibling virusについて、F遺伝子の塩基配列の解析を終了した。さらに、それぞれの株のFおよびH遺伝子を発現できるクローンの作成をほぼ終了し、HおよびF蛋白の相互作用、即ち細胞のレセプターとの結合性や細胞融合能を検討する準備が整った。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T. Seto, M. Ayata, et al.: "Different transcriptional expression of the matrix gene of the two sibling viruses of the subacute sclerosing panencephalitis virus (Osaka-2 strain)isolated from a biopsy specimen of patient brain"Journal of Neuro Virology. 5・2. 151-160 (1999)