1998 Fiscal Year Annual Research Report
複数の金属元素で構成される化合物半導体の生体影響評価
Project/Area Number |
10670317
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 昭代 九州大学, 医学部, 講師 (10136484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 実 九州大学, 医学部, 助手 (50243936)
平田 美由紀 九州大学, 医学部, 助手 (30156674)
槇田 裕之 九州大学, 医学部, 助教授 (30209407)
井上 尚英 九州大学, 医学部, 教授 (00131904)
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Keywords | 化合物半導体 / アルミニウムガリウムヒ素 / ガリウムヒ素 / ハムスター / 気管内投与 / 肺毒性 / 慢性影響 |
Research Abstract |
【目的】アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、ガリウムヒ素(GaAs)の慢性影響について実験を行った。 【方法】AlGaAsおよびGaAs粒子は遊星型ボールミルで15分間粉砕し、400メッシュの節振とう機にて37μmに分級した。実験動物として雄性シリアンゴールデンハムスター(SPF、24匹)を用い、8週齢(体重111g-114g)にて実験に供した。各被験試料の1回投与量はAlGaAs4.7mg/kg(GaAs換算4.0mg/kg)、GaAs4.0mg/kgであり、ハムスターに週2回、8週間にわたって気管内へ投与し、対照群はリン酸緩衝液0.1ml/kg/匹のみを投与した。最終投与日翌日にCO2吸入により安楽死させ、採血後、主要臓器を摘出し、肺左葉および右下葉、右腎臓、肝臓(右葉、方形葉、尾上葉)、脾臓は10%中性緩衝ホルマリン溶液で、右精巣はブアン液で固定し、病理組織学的検索に用いた。肺右上葉、中および副葉、肝左葉、左精巣は金属分析に供した。さらに、右精巣上体は精子の運動能および精子の奇形、左精巣上体は精子数の検索に用いた。 【結果】GaAs群では3回目、AlGaAs群では6回目投与より体重増加の抑制が観察され、対照群に比べて有意に低下した。各群の相対臓器重量は、肺では対照群に比べAlGaAs群、GaAs群で約2倍と有意に増加したが、他の臓器では有意な差は観察されなかった。さらに、各群の精子の運動能についても各群間で有意な差は認められなかった。 これらの結果より、AlGaAsおよびGaAsをハムスターの気管内に反復投与することによって、体重増加の抑制や肺の相対臓器重量の増加が観察された。現在、各臓器の病理組織学的検索や金属濃度の測定を行っており、AlGaAsおよびGaAsを投与したハムスターについて経過観察中で、今後、投与開始後24週および48週目に慢性影響の評価を行う予定である。
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