1998 Fiscal Year Annual Research Report
有害物質代謝酵素の遺伝子多型と生体影響および生物学的モニタリング
Project/Area Number |
10670323
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80217710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118924)
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Keywords | 分子疫学 / 遺伝子多型 / 有機溶剤 / 代謝 / 健康影響 |
Research Abstract |
1) ジメチルアセトアミドの代謝とチトクロームP450(以下、CYP2E1)遺伝子型には明確な関連は見られなかった。 2) ボランティアを用いたジメチルホルムアミド(以下、DMF)の代謝とCYP2E1遺伝子型の関連については現在解析中である。 3) 実際にDMFを扱っている現場作業者について、DMF曝露による健康影響が遺伝子型により異なるのかを明らかにする目的で、化学工業メーカーにおいて時間断面調査を行った。曝露作業者は男性27名、女性26名の合計53名であり、年齢をマッチさせた男性38名、女性11名をコントロール群とした。これらの対象者についてDMFの代謝酵素であるCYP2E1の遺伝子型の他、代謝の修飾因子となりうるアルデヒド脱水酵素(以下、ALDH2)、アルコール脱水酵素(以下、ADH2)の遺伝子型についてもPCR-RFLP法で同定した。また、交絡因子となりうる飲酒、喫煙等のライフスタイル、既往歴、現病歴について質問票を用いて調査した。曝露の評価には個人曝露を指標とし、パーソナルサンプラーを用いて測定した。また、生物学的モニタリング指標として、作業終了後の尿中モノメチルホルムアミド(以下、NMF-U)を測定した。さらに、健康影響指標として有機溶剤曝露に関連した自記式自覚症状調査などを自記式質問票を用いて調べ、末梢血検査、血液生化学検査、尿検査、神経伝導速度などを行った。血液生化学検査では特に血清膠質反応、ALT、AST、γ-GTP等の肝機能に着目した。DMF曝露と健康影響との間には自覚症状および末梢血、血液生化学、尿検査、神経伝導などの諸検査とも明らかな関連は見られなかったが、健康影響に及ぼす遺伝子型の影響については、現在、解析中である。
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