1999 Fiscal Year Annual Research Report
県がん登録を活用したがん検診の有効性の評価に関する研究
Project/Area Number |
10670355
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Research Institution | Sapporo Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
森 満 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50175634)
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Keywords | がん検診 / コホート研究 / 症例対照研究 / 胃がん / 子宮頸がん / 肺がん / 大腸がん / 乳がん |
Research Abstract |
【目的】1982年1月1日から1996年12月31日までの15年間の佐賀県がん登録に基づいて、胃、子宮頸、肺、大腸、乳房の各部位のがんについて、がん検診が生存率に与える影響を調べた。【方法】5つのがんの部位ごとに、性、年齢、進展度と受診契機(検診か否か)との相関を調べた。さらに、がん検診を医療機関への受診契機としたがん患者を検診群とし、それ以外の受診契機のがん患者を非検診群として、最終観察日を1996年12月31日とした生存率へ与えるがん検診の影響をCox回帰分析によって性と年齢を調整して評価した。【結果】検診群は非検診群よりも肺で女性の割合が有意に大きく、大腸で男性の割合が有意に大きかった。また、検診群は非検診群よりも胃、子宮、肺で診断時の年齢が有意に低かった。検診群は非検診群よりもすべての部位で進展度が有意に低かった。さらに、検診群は非検診群よりも、すべての部位で15年間の累積生存率が有意に高かった。そして、検診の死亡に対する性と年齢を調整したハザード比(その95%信頼区間)は、胃がん検診0.40(0.36〜0.44)、子宮頸がん検診0.41(0.27〜0.62)、肺がん検診0.51(0.45〜0.57)、大腸がん検診0.45(0.32〜0.62)、乳がん検診0.43(0.20〜0.90)といずれも有意に低かった。【考察】性と年齢を調整してもすべての部位のがん検診の死亡率減少効果が示されたが、結果の解釈に当たってはlead-time biasなどに対する注意が必要である。しかし、国内外におけるがん検診に関する最近の症例対照研究でも、いくつかの部位で同様の死亡率減少効果が示されており、今回の結果もそれらと符合していた。
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